9日のJリーグアウォーズで自身初のベストイレブンに名を連ねたにもかかわらず、翌日の宇佐美の表情にはこれっぽっちの満足感もなかった。
ナビスコカップではニューヒーロー賞を獲得し、得点ランクで3位の5得点。リーグ戦では負傷で序盤に出遅れながらも自身初の二ケタ得点を達成した。ただ、リーグ戦終盤に点を取り切れなかったという不甲斐なさを、宇佐美自身が一番感じ取っていた。
「率直なところは胸を張れない。自分の理想や目標にはほど遠い数字だったので」(宇佐美)。
J2時代の昨季からFWとして本格的な覚醒を見せてきた背番号39にとって、「自らの評価=得点」である。だからこそベストイレブンではなく、「理想は得点王というか、真ん中で一人で表彰される選手でないといけない」と言い切った。
ナビスコカップの決勝やリーグ戦の天王山となった第32節・浦和戦(2○0)、そしてリーグ戦の最終節といった今季の大一番ではいずれも無得点に終わった。彼が「ベストイレブン」の肩書きにふさわしいことを証明する今季最後の舞台が、天皇杯の決勝だ。プロ1年目だった09年度の天皇杯決勝はベンチにさえ入ることができず、スタンドから先輩たちの優勝を見届ける立場だったが、今回は和製エースとして自身初の天皇杯決勝に臨む。
「大舞台で(得点を)取れていないのは僕らしくない。この決勝では、らしさを出したい」。プライドと自らへの自信が、その言葉の端々にみなぎっていた。 (下薗 昌記)
宇佐美 貴史(うさみ・たかし)
1992年5月6日生まれ、22歳。京都府出身。178cm/69kg。G大阪JY→G大阪Y→G大阪→バイエルン・ミュンヘン→ホッフェンハイム(以上ドイツ)を経て昨季途中、G大阪に復帰。J1通算69試合出場21得点。J2通算18試合出場19得点。