転機であり、躍進の一年の最後に
開幕時からレギュラーとして1シーズンを戦い抜いた大島僚太にとって、2014年は転機であり躍進の年だった。中でも最も印象的だったのは、U-21日本代表の主将を任された9月のアジア大会だろう。彼自身、明言はしなかったものの、川崎Fとは異なる志向を持つ代表のサッカーに苦心していた様子が見て取れた。その中でも、求められたタスクをこなしていた。しかし、準々決勝の韓国戦では敗退につながるPKを献上し、試合後には人目をはばかることなく涙を流した。「あの大会を通じて、もっとうまくならなきゃいけないと思ったし、球際の部分で強くならないといけないと感じた」。大会後に大島はこう語っていたが、そのためのステップアップとしてA代表入りを狙うという旨の発言は出てこなかった。
あくまでも、自身の技術を向上させるために川崎Fで死力を尽くすこと。そう言い続ける彼の口からは大きな野心が語られることはほとんどなかった。だが、彼の望むように自らをさらなる高みに持っていくためには、A代表は避けて通れない道だ。今季、大先輩である中村憲剛が見せた前半戦における躍動の理由の一つには、“もう一度W杯に出たい”という強い思いがあった。A代表に名を連ねることで、自身の立ち位置を確認でき、さらなる向上心も醸成される。それは多くの先輩たちを見れば分かること。しいては、川崎Fを強くすることにもつながる。
そして「韓国戦でPKを与えた大島」のイメージを払しょくするには、A代表の鎧をまとい、結果を残す以外にない。(竹中 玲央奈)
大島僚太(おおしま・りょうた)
1993年1月23日生まれ、21歳。静岡県出身。168cm/64kg。船越SSS→静岡学園中→静岡学園高を経て11年川崎Fに加入。今季は主力として定着。リオ五輪を目指すU-21日本代表では主将を務めている。J1通算69試合出場3得点。