G大阪、山形の圧力に屈せず5年ぶりの天皇杯制覇
戦うカテゴリーこそ違えど、ほんの1週間前にそれぞれが歓喜を味わったばかりの両者。「山形は勢いがある。簡単な試合にはならない」(今野)。結果的にオフサイドだったものの、開始50秒足らずで、松岡が決定的な飛び出しを見せ、山形ペースで進みかけた試合を一変させたのは和製エースの右足だった。
GK東口のゴールキックをパトリックが競り勝つと一度はGK山岸に阻まれたものの、宇佐美が再度蹴り込み、4分にあっさりとG大阪が先制する。
「自分たちのサッカーではなかった」(遠藤)とJ2・6位チームの圧力に押され、ボール支配率では完全に劣った大阪の雄だが、“肉を切らせて骨を絶つ”のは今季のG大阪の十八番。22分に生まれたパトリックの追加点もJ1第32節・浦和戦の先制点のリプレイを見るようなセットプレーの守りからのカウンターによるものだった。ただ、その後に訪れた決定機を決め切れず、2-0のまま後半へ折り返す。
後半、山形はFW林を最前線に配置し、ディエゴが2列目にポジションチェンジしたことで主導権を握り返すと62分にはロメロ・フランクが追撃弾。劣勢に回ったG大阪だったが、苦しい時間帯に致命的な失点を許さないのが今季のJ1王者の強みでもある。岩下の負傷交代というハプニングもキム・ジョンヤがしっかりと穴を埋め、守備陣が踏みとどまると85分には相手DFに当たる幸運もあり、宇佐美が決定的な3点目を叩き込んだ。
「我慢しながら失点せず、3点目もどこかで狙っていた」と遠藤は余裕の表情を見せた。リーグ戦の巻き返しを見せた試合巧者ぶりと、ベンチの層の厚みはこの日も健在。山形の圧力をしのぎながら、カウンター2発で沈める“したたかな王者”が、昇格1年目での全冠独占という偉業を成し遂げた。 ( 下薗 昌記)