Feature 特集

[日本代表]アジア杯へ向けての戦術的な課題

2014/12/17 16:26

吉田を始め、ケイヒルに奪われたゴールを選手たちは反省している



隠れたアギーレ・ジャパンの欠陥。CBがサイドの対応に出ていいのか

 ピッチ外で起きた大問題。日本の指揮官はいまや完全に“疑惑の人”となってしまった。あとは事態を見守っていくしかない。一方、話をピッチ内に戻すと、ハビエル・アギーレ監督はこれまで、ある独特な指示を守備陣に与えていたことが分かった。

 アジア杯を占う上で、先月行われた豪州との一戦は一つの物差しになる試合だった。結果は2-1で日本の勝利。アジアのライバル相手に一応は勝利を収めたものの、現在でも拭い切れない瞬間があった。

 それは、試合終了間際に喫した失点シーン。ヘディングを決められた相手は、ティム・ケイヒル。長年の日本の天敵FWにまたしてもゴールを奪われたこの失点シーンには、ある欠陥が隠されていた。

 CBの吉田麻也は試合直後、珍しく憮然とした表情でこの場面を振り返った。「ケイヒルはああやってマークをはがしてファーサイドで勝負する。分かっていた形なのにやられたのは本当に良くない。まずはクロスを上げた選手にサイドの味方が寄せる。そして中央ではしっかり相手(この場合はケイヒル)に体を寄せる。逆のSBはしっかり中央に絞る。そのあたりはDF陣とも話しました」。

 同じくCBで、初めてケイヒルと対戦した森重真人もこう話す。「ケイヒルはイヤらしい動き出しをしてきてうまかった。僕もしっかり視野には入れていたけど、もっとタイトにマークする必要があった」。

 各選手たちにとって反省と戒めを促す失点だっただけに、アジア杯でパフォーマンスが改善されれば、意味のある失点だったと言える。しかし、それだけでは不安は拭えない。隠された欠陥が、今後もこうした失点の遠因になり兼ねないからである。

 それは、守備戦術の練習で起きたことだった。相手チームがサイドの高い位置にボールを出した場面。対面する相手にSBが応対していると、アギーレ監督は「同サイドのCBもサイドに出て行ってフォローして、2対1の状況を作るように」と指示を出した。CBがサイドに釣り出されていくことは、相手のカウンターや大きなピンチを迎えた場合でしか考えられない。それはかなりリスクのある守備という考え方が、サッカーにおけるセオリーだ。

 ところがアギーレ監督は、大胆にもサイドにCBが出て行く指示を出した。そして、「中央で空いたスペースは、アンカーやボランチの選手がディフェンスラインに入ってカバーすればいい」と続けた。選手たちがフォーメーションどおりのポジションにいればそれは可能だが、常に選手は動くモノ。試合中、MFのカバーが間に合わないことも想定しておく必要がある。

 ケイヒルに決められたあの場面。日本の右サイドからクロスを上げた選手の前には、SBの酒井高徳とMFの今野泰幸がいた。彼らの詰めが甘く相手に蹴らせてしまったが、さらに彼らの後ろからCBの吉田までもがサイドの選手に距離を詰めていこうとしていた。その結果、中央は森重とケイヒルの1対1となり、綺麗にゴールを決められた。アギーレ監督の“やり方”に則った結果、足をすくわれた。

 技術や戦術に長けた日本も、相手に強さや高さを見せ付けられ、アジアで苦戦する試合がある。だからこそ、極力二人のCBがチャレンジ&カバーをし合える距離間を保ちたい。それは、日本が世界と戦う上での常識でもある。

 アギーレ監督の独特な守備戦術。細かい部分だが、よく見ると、日本の大きな穴になり兼ねない方法だ。1月に戦うイラク、ヨルダンら中東勢は、すでに日本を分析しているだろう。「弱点はクロスと空中戦」。ケイヒルのゴールシーン一つ見ただけで、そうハッキリと彼らに刷り込まれているに違いない。(西川 結城)

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会