2011年のカタール大会で初めて背番号10を着けてから4年。香川真司は再起を懸けて2度目のアジア杯に挑む。
この4年間、彼は不慣れなポジションに苦悩し続けてきた。アルベルト・ザッケローニ体制での主戦場は左サイド。当時ドルトムントでトップ下として大活躍していた自信と誇りゆえに、最初は違和感を拭えなかった。12年夏のマンチェスターU移籍後は複数のポジションにも果敢に挑んだが、代表に戻ってくると「乾のほうがサイドで自分の形を持っている」といったネガティブ発言も。なかなか結果も出なかった。
ザックジャパンで香川が輝きを放ったのは、アジア杯の準々決勝・カタール戦、11年8月の日韓戦、12年10月のフランス戦、13年のコンフェデレーションズ杯・イタリア戦。この4戦のダイナミズムと得点感覚はすさまじかった。その非凡なセンスがあるからこそ、ザッケローニ監督も期待し続けたが、肝心のブラジルW杯ではまさかの沈黙。これほどの挫折は初めてだろう。
14年9月のハビエル・アギーレ体制発足後は[4-3-3]のインサイドハーフが主戦場となった。「自分は後ろでパスをさばいているだけの選手ではないし、前で脅威になれる存在。そこだけは失いたくない」と本人も強調したが、守備負担が大きいぶん、低い位置に下がる場面も多くなる。そこで数少ないチャンスを決めなければならないから難しい。オークランド・シティ戦でも3〜4回の得点機を迎えたが、肩に力が入って精度を欠いた。「チャンスが10回あったら10回前へ入っていく意識でやったけど、距離感やシステムの順応の部分でまだ時間がかかる」。彼は模索の真っ只中にいるようだ。「チームが押し込めたときは真司のポジションはフリーになれる」と本田圭佑が言い、長谷部誠も「後ろにいる僕らがもっと真司を前に押し出す必要がある」と語るなど、周囲も彼の良さを出せる形を作ろうと必死だ。その解決策が開幕までに明確になるのか。背番号10にとっていまがまさに正念場だ。(元川 悦子)