遠藤で始まり、遠藤で終わった試合
日本が入ったDグループの相手は、パレスチナ、イラク、ヨルダンと恒常的に紛争状態にある国、地域といっても差支えない。難民の流出、流入が絶えず、国家の基盤は極めて脆弱である。逆にネガティブな要素が多いぶん、サッカーに託す思いは強烈だ。代表選手、代表チームは国家を体現する象徴的な存在と言える。ゆえに国際的な経験値は乏しくても、代表選手のモチベーションは高い。
初戦の相手パレスチナは、アジアチャレンジカップを勝ち上がって出場権を得ている。対戦相手はキルギス、ミャンマー、モルジブ、アフガニスタン、フィリピンである。中東のDNAを持つパレスチナの出場は当然と言えるが、日本の初戦の相手としては、イラク、ヨルダンと試合巧者が次に控えるだけに、中東モードに気持ちを切り替える相手としては理想的な組み合わせとなった。
結果は4-0である。ほかのグループの強豪国が初戦に苦労したのに比べて、まるで日本は調整試合をしているかのようだった。パスコースを限定されていたため、恐れていた相手の速攻もほとんど不発、セカンドボールも拾うことができた。
スコア以外に印象に残ったことと言えば、この試合が遠藤保仁で始まり、遠藤で終わったということか。あらためてベテランの復帰を決めたハビエル・アギーレ監督の慧眼というか、勝負運に敬服せざるを得ない。さて、遠藤のバトンをイラク戦で次ぐのは誰か。そこがこの試合が見せた問題点でもあった。
清武弘嗣、武藤嘉紀、豊田陽平が交代枠で使われたが、アギーレ監督がこの試合で一番使いたい選手は柴崎岳ではなかったか。インフルエンザのため、チームへの合流が遅れたが、そのぶん練習を見ていても調整不足は否めなかった。次戦以降に登場の期待大である。
しかし、本田はどうだったか
この試合のMOMに選出された岡崎慎司は、本田圭佑と比較するとよく分かるが、ボールを受けるとき、受けたあとのプレースピードが格段に速い。神業の2点目は、マインツでトップを張る所以でもある。しかし、本田はどうだったか。アウトサイドで縦に行けない。ボールを受けても前を向けずつぶされてしまう。交代枠が4人だったら、途中で本田がピッチから去っても何ら不思議ではなかった。本田がこの調子だから当然、酒井高徳も生きない。香川真司が幸運とも言えるPKをもらったが、本田が蹴った理由が理解できない。今後のことを考えれば香川自身がゴールを記録するべきだった。本田のためにではなくチームのために。(六川 則夫)