
前回大会、それまで結果を残せなかった李が最後にヒーローとなった
チームの窮地に現れる救世主。ヒーローモノや時代劇のTVドラマのように、日本代表の試合でもその存在は際立つことが多かった。2000年レバノン大会の決勝で望月重良(現・相模原代表)がゴールを決め、04年中国大会では準決勝、決勝と中田浩二(鹿島)が2試合連続得点を記録。二人は元々、先発ではなかった選手たちだ。大会が進む中で試合に抜擢されるようになり、チームを救ってきた。
その存在が特に顕著だったのが、前回のアジア杯カタール大会だ。準々決勝・カタール戦では内田篤人に代わって右SBで出場した伊野波雅彦(現・磐田)が89分に流れの中から決勝ゴールを奪って3-2で勝利した。続く準決勝・韓国戦では細貝萌(現・ヘルタ・ベルリン)。延長前半の97分、本田圭佑が蹴ったPKは相手GKに防がれたが、そこに交代出場だった細貝が詰めてゴールに蹴り込んだ。その後韓国に追い付かれてPK戦までもつれたが、信じてゴール前に詰めていた細貝がいなかったら、決勝への切符を手にすることはできなかっただろう。極め付きは、李忠成の“優勝ゴール”。グループリーグ初戦で決定機を外し、その後出場機会も限られていたストライカーだったが、決勝戦の98分から出場すると延長後半の109分、伝説的なボレーシュートを決めた。実は三人とも、それが代表初ゴール。大会前までは主力とは言えなかった選手たち、細貝と李に至っては交代選手が日本代表を優勝まで導いたのだった。
今回大会、期待される攻撃陣の主力は本田圭佑であり、岡崎慎司だろう。だが一発勝負の総力戦では、“伏兵”の活躍が必要な場面が訪れることは明白。ベンチに控える攻撃のカードが豊富であることも求められる。豊田陽平、清武弘嗣、武藤嘉紀、そして小林悠。パレスチナ戦では苦汁をなめたかもしれない彼らでも、大一番で出番が来たときのために準備を欠かさぬことが必要だ。李のようなヒーローとなるために。