フレッシュな選手が入ってマイナスになるのは監督のせい
イラク戦では、ミスなどが出て先制点を奪われるかもしれない。この試合は、たとえ劣勢であっても、何がなんでも引き分けで終わらないといけないゲームだ。先に点を取られるかもしれないということを考えておく必要もある。追いかけるゲームとなったとき、特に重要となるのは、途中出場の選手の役割だ。投入された選手が「何をするかよく分からない」という状況では、「監督が無能」だと評価されても仕方ない。選手は与えられたポジションで自分なりのプレーをしようとする。ただ、いつもより良いパフォーマンスを出すためには、共通理解のもとにプレーさせないといけない。
パレスチナ戦は、途中出場の選手が効果的ではなく、5、6点目を決められずに試合が停滞した。例えば遠藤保仁と清武弘嗣は違うタイプの選手で、それぞれのスタイルがある。彼らの良いところを出すための明確な役割を指揮官が伝えるべきだ。パレスチナ戦で遠藤を代えた判断が悪いというわけではない。問題は交代の仕方だ。乾貴士に代えて清武を入れ、その後遠藤に代えて武藤嘉紀を入れ、清武は遠藤のいたインサイドハーフに入れた。清武は前でのチャンスメークを主に考えている選手。それが途中でポジションの変更があり、ボランチの一角とも言える位置で守備や二列目からの飛び出しも求められた。ひさびさに入った代表での初戦という現状では、荷が重い。いくつかミスも出ていた。どんなプレーをするか、ハッキリさせてあげないといけないし、本人にも自覚がないといけない。一人でも曖昧なプレーをする選手がいると、チームは停滞する。選手個々の能力が低いということではない。与えられたポジションをまったくエンジョイできなかった。また、清武や武藤がドリブルでしかける場面も皆無。パレスチナは途中から乱暴なプレーをするようになっていたが、それを清武や武藤が逆に利用して、「ペナルティーエリア内で勝負してやろう」となってほしかった。汚いプレーをされても、気持ちで上回ることが大事だ。フレッシュな選手が入って、チームがマイナスになるのは監督のせい。イラク戦では、途中出場の選手が生きる展開になってほしい。
小見 幸隆(おみ・ゆきたか)
1952年12月15日生まれ。東京都出身。69年に読売クラブ(現・東京V)に入団してMFとして活躍。日本代表にも選出された。引退後は読売クラブ、V川崎のトップチームやユースチームの監督を歴任。06年より柏で強化に関わり、12年秋まで強化本部統括ダイレクターなどを務めた。