
昨季、G大阪に3冠をもたらした遠藤。守備でも存在感を放ち、34歳にして初めてJリーグ最優秀選手賞を受賞した
とにかく番記者泣かせの男である。「サッカーは団体の競技。個人の記録にはまったく興味がない」と公言してはばからない背番号7は、クラブや代表の双方で刻んできたさまざまな節目の数字を問われるたびに「気にしていない」と番記者たちを煙に巻き続けてきた。
イラク戦で国際Aマッチ出場が150試合を数えた遠藤だが、昨年34歳に達してもなお成長を続ける鉄人の言葉に感銘を受けたことがあった。
「僕の中でターニングポイントなんて試合はない。プロである以上、すべての試合が大事」。うかつに本音を明かそうとはしない背番号7ではあるが、この言葉だけは紛れもなく遠藤保仁のポリシーなのだと確信した。
人目に付くようなところで居残り練習をしたり、仰々しく体のケアをしている気配を感じさせたりすることは日々のクラブハウスでもまずお目にかかることはない。それでも、世界で戦うことを意識しながら肉体改造に取り組んできたことは、練習着越しの上半身を見ただけでもうかがい知れる。
ドイツW杯では試合に出られない悔しさを知り、南アフリカW杯では世界と渡り合う手ごたえを感じた背番号7は「集大成」と位置付けたブラジルの地で、不完全燃焼のまま3度目のW杯を終えた。
ただ、この34歳はブラジルW杯で感じた世界との差を埋めるべく、Jの舞台で懸命に体を張り続けてきた。
かつてのように攻撃に軸足を置く攻撃重視のボランチではなく、泥臭く体を張って守備にも奔走。その運動量はチームメートも舌を巻くほどのモノだった。
日本人選手としては最多となる4度目のアジア杯についても「一切数字は気にしていない(笑)」と相変わらずの“遠藤節”を聞かせてくれた。
150試合という節目も遠藤にとっては単なるキリの良い数字にしか映っていないはずだ。もっともこのマイペースな男が今回のアジア杯で意識するのは「コンフェデにもつながるし、まずはアジアのチャンピオンになること」。
150回、日本の勝利を目指してピッチに立ってきた鉄人は、この先もチームのためだけに走り続けるはずだ。(下薗 昌記)