前半も遠藤保仁がボランチ気味に引いて対応する場面はあったが、明確に[4-2-3-1]となったのは今野泰幸が入った後半途中から。後方の素早いビルドアップから香川真司が高い位置でボールを受け、1トップの岡崎慎司と縦にリンクしながら左の清武弘嗣、右の本田圭佑と絡んでいく形は何度もチャンスを生んだ。象徴的だったのが65分の場面で、岡崎の落としを香川が受けて加速し、フリーの清武を経由してつながったボールは、本田のシュートがポストを叩く場面を演出。後半、最もカウンターがうまくハマった場面だろう。
「交代選手がうまく活性化してくれたと思っているし、チャンスにも絡んでいたので、攻守において90分良いバランスで試合ができた」と香川は振り返る。清武が左ウイングながら香川を前に押し出してサポートすることを意識したこと、今野が後ろで機動的に体を張り、香川を下げさせなかったことも大きい。今野は短い攻撃時間の中で、積極的に駆け上がって何度かゴール前にも絡んでおり、また遠藤と違う攻撃性能で得点の可能性を広げられることを証明した。
カウンター主体の攻撃では、岡崎の特長も生きやすい。アルベルト・ザッケローニ監督のときと違い、ハビエル・アギーレ監督の[4-2-3-1]は中盤のポジションをプロテクトしながら、カウンターや速い攻撃で効率良くチャンスを作る効果を期待している様子。選手もその意図を理解してきている。守備に関してはポジションが深くなるため、危険な位置でFKを与えてしまう場面もあるが、それは個人の意識を変えて対応すればいい。今後も[4-2-3-1]はリードして後半に入った際の有効な選択肢になるが、そのキーマンである今野がイラク戦で左足を痛めたことは不安材料だ。場合によっては森重真人をボランチに上げるなど、スクランブルな起用法も視野に入れておくべきかもしれない。(河治 良幸)