香川真司が左のインサイドハーフに入ると予想されたが、主に遠藤保仁が左側に位置した。遠藤は相手の出方に応じて長谷部誠とダブルボランチ気味のポジションを取りつつ、乾貴士、長友佑都とのトライアングルを機能させた。相手の右ボランチに入ったヤースル・カシムが攻撃の軸となっていたため、遠藤がマッチアップする形に変更した部分もあるだろう。
最終ラインと長谷部でボールをつなぎ、中盤が受けたところで攻撃のスイッチが入るのがアギーレジャパンの基本スタイル。ただ今回は「左サイドの間のスペースが結構空いていたので、そこでつなげればチャンスになった」と乾が語ったように、イラクの右ウイング・カラフの守備が甘かったため、ワイドの組み立てからその少し中の遠藤に入ったところでギャップが生じやすかった。遠藤は後ろからのボールを受けながら相手ボランチのプレッシャーを吸収し、左のスペースを見ながら乾を使うタイミング、長友を使うタイミングを柔軟に使い分けていた。長友と乾に関しては、二人で頻繁にパス交換するよりも、乾が中に入って空いたスペースに長友がタイミング良く攻め上がる形が機能していた。
乾はパスの出し手としても、長友のオーバーラップを引き出していた。香川が左サイドへ流れたときには“元・C大阪コンビ”の好連係も披露。「(香川)真司は間で受けてくれるので、そこに合わせてワンツーを狙いやすかった」と乾は振り返る。[4-3-3]をベースに、遠藤と香川がポジションを入れ替え、時に遠藤が下がり目のポジションを取って実質的な[4-2-3-1]にシフトするなど、かなりフレキシブルな戦いも見せていた。
遠藤と香川がうまく特長を出しながら、乾が受け手としても出し手としても機能し、長友の攻撃力を引き出すスタイルは、良くも悪くも遠藤、香川、長友の固定形だったザックジャパンとも違う効果を生み出しそうだ。(河治 良幸)