ザックジャパン勢の守備意識の高さ
香川真司に待望の得点が生まれた。アシストをしたのは、乾貴士に先発のポジションを奪われた途中出場の武藤嘉紀である。短い時間ながら決勝トーナメント出場が懸かった試合で、結果を出した。乾も先制点につながるスルーパスを岡崎慎司に出し、本田圭佑の挙げた決勝点の起点となった。途中出場ながら、清武弘嗣もバランサーとしての役割を徐々に発揮しつつある。起用のタイミングを見ていると、監督の期待値の高さがうかがえる。終盤では、インフルエンザのため出遅れていた柴崎岳も登場。右サイドを活性化させた。中東勢相手とはいえ、アギーレジャパンになってから台頭してきたプラス4(武藤、乾、清武、柴崎)が、決勝トーナメント進出にそれぞれ存在感を見せた。今後の戦いを踏まえるとグループリーグで得た収穫は勝ち点9以上の価値があると言っていいだろう。
無論、彼らが活躍できたのも、ザックジャパンでの成長と破たんに直面した選手たちの経験値の上に成り立っている。岡崎は言うに及ばず、遠藤保仁や本田、香川らを筆頭に、高い位置からの守備とその連動性、自己犠牲は、見違えるようである。あの遠藤ですら、ヨルダン戦はときに長谷部のように見えるほど、守備にもアグレッシブだった。3試合を通じて感じたのは、中東勢に得意のサッカーをさせなかった日本の守備意識の高さである。決定機が多かった割に2点しか取れなかったのは課題だが、グループグループは勝ち上がることが至上命令である。3試合をして7得点無失点という結果は、ネガティブに捉える必要はない。
課題を挙げるとすれば、日本のストロングポイントである左サイド偏重の攻撃パターンにある。試合中に乾が右、本田が中央にはいるなど、早い時間帯からポジションチェンジをして、攻撃に変化をつけているが、基本的に日本の攻撃は片肺飛行である。右SBの酒井高徳の役割は、守備に軸足を置いたバランサー以上でも以下でもない。それもチームにとって重要なことであるが、それだけでは内田篤人からポジションを奪うことはできない。
準々決勝の相手はUAEとなった。サウジアラビアと並んで個の身体能力を前面に押し出してくるチームである。うまさに加え、ポジション取りが絶妙なオマール・アブドゥルラフマンをチームとしてどう捕まえるかがポイントとなる。PK戦まで視野に入れた日本の戦い方に注目しよう。(六川 則夫)