終わってみれば、日本は危なげなく3連勝でグループリーグを1位で突破した。
大会前は、“舐めてかかれば痛い目にあう”と気を引き締めて臨んだアジア杯。もちろん敵を軽んじることなく、しっかり自分たちがやるべきことをした上での危なげない勝利だった。ただ、過去のこの大会やW杯予選では中東勢などを相手に苦しんできた事実もあっただけに、このスムーズな勝ち上がりにはさまざまな示唆も含まれている。
3試合に共通していたのが、日本の圧倒的な戦いぶり。ここには二つの側面が存在する。
一つは、純粋に日本の実力が相手を上回ったということ。本田圭佑が今大会中に「自分たち自身で難しい試合にしてしまえば、戦力差があっても負けるのがサッカー」と発言していたが、これまでの日本はアジアの舞台でこうした状況に陥ったことが多々あった。今回は言ってみれば戦前の予想どおり、実力どおりの結果を残すことに成功したわけだが、やはり取材を通して見えてくるのは選手の落ち着きである。
欧州で厳しい戦いに揉まれていること、またブラジルW杯で味わった悔恨。それらがいまの代表の経験値上昇に間違いなくつながっている。「アジアで負けるわけにはいかない」という思いが、いまのところはプレッシャーに働くのではなく、自然体として発揮できているところが大きい。
もう一つの側面は、中東勢の停滞である。07年のアジア杯でイラクが優勝し、その後のW杯予選での中東各国やウズベキスタンの勢いなどから、アジア全体の実力差も徐々に均衡されてきていると言われていた。ところが、ここに来て中東の情勢不安も影響してか(当然、中東内でも各国の事情は異なるが)、予想していたよりも成長速度を落としている国々が存在する。日本の選手たちも「以前に戦ったときのほうがもっと強かった」という意見が多く、まだまだ東アジアや豪州のような安定感はないという印象だ。アジア全体のレベルは底上げされているのだろうが、それをさらに上回るスピードで王者の日本も上に行こうとしている。それが、ここまでのアジア杯の現状である。(西川 結城)