磐田はキャンプでの意識付けが結果に結び付く
磐田1-0熊本
互いにキャンプを締めくくる一戦だったが、前半から積極的に攻めた磐田に軍配が上がった。
先制点は15分。今季、トップ昇格を果たしたボランチ・上原力也の縦パスを受けた森島がゴールへ突進し、左足でシュート。熊本のGK金井にはじかれたこぼれ球をアダイウトンが右足で押し込んだ。決勝点をマークした新加入のブラジル人FWは、「日々ハードな練習をやってきたし、その成果だと思う」と笑顔。キャンプでは苦手な長距離走で遅れを取ることもあったが、徐々にコンディションを上げており、スピードという持ち味を発揮しつつある。
この試合、磐田のシュート数は『15』。小林が前半だけで4本のシュートを打つなど1トップ+2列目の4枚が果敢にゴールを狙った。その中で1ゴールに終わったことは課題だが、キャンプでは積極的にシュートを狙うことをポイントの一つとしてきただけに、その成果は出たと言える。また、このキャンプのテーマの一つとしてきたプレッシングも及第点の出来。名波監督は「自分たちのコンセプトを攻守にわたってアグレッシブにやってくれた」と選手たちを評価した。
対する熊本は11日の清水戦同様、チャンスを決め切れない場面が目立った。前半はシュート1本に封じられたが、後半に決定機を作っている。後半開始から3バックへ変更。新加入の常盤など5選手を投入し、エンジンをかけ直した。57分にはその常盤が最終ラインの背後へ抜け出し、ゴール前の齊藤へクロス。さらに73分には嶋田のスルーパスに抜け出した齊藤がGKと1対1のビッグチャンスを迎えた。しかし、いずれも磐田のGK八田に防がれ、ゴールを決め切れず0-1で敗れた。熊本の小野監督は「チャンスは何回かあったので、それを得点に結び付けていきたい」と今後への課題を口にした。(南間 健治)
◆ジュビロ磐田
仕上がり具合 60%
まだ道半ばも、主力グループは見えてきた
今季、イチからチームを作っていると言っていい磐田。熟成にはまだ時間を要する。
「相手に合わせたサッカーはしない」という名波監督のポリシーは昨季から不変。ただし、“名波ジュビロ”の発足は昨年9月下旬であり、まだ半年足らず。また、このオフに11選手を放出した。そうした事情もあり、18日間にわたる鹿児島キャンプでは、昨秋に行ったチームビルディングを“おさらい”している印象を受けた。
このキャンプではまず守備面を確認した。キャンプ前半戦で行ったのは変則的な紅白戦だ。基本布陣[4-2-3-1]の並びに選手を置き、攻撃側がパスを1本つなぐごとにプレーを“フリーズ”。守備側の状況を確認し、マークの受け渡しやディフェンスラインのスライド、前線からプレッシャーを掛ける位置などを共有した。これは昨季の名波体制の発足直後に行ったメニュー。新加入の森島は「ジュビロにはジュビロのやり方がある」と語る。攻撃面も同様。松井は「カウンターに行くのかつなぐのか、時間帯を考えながらやっていきたい」と話しており、チームとしてイメージをすり合わせている段階である。伊野波はチームの現状をこう語る。「いまチームを“組織化”している段階。前と後ろ、新旧の選手でまだ考えの違いがある。もっとコミュニケーションを取っていかないと」。
その中で今季の主要メンバーは見えてきた。中心となるのは11日の浦和戦の先発メンバー(カミンスキー、駒野、伊野波、森下、宮崎、藤田、上田、太田、小林、アダイウトン、森島)だろう。ここに松井、新加入FWのボスロイドを加えた面々が“主力グループ”となりそうだ。
長期離脱者を一人も出さずにキャンプを終え、調整としては順調。ただし、“完成”にはほど遠い。新たなチーム作りはまだ始まったばかりだ。(南間 健治)
◆ロアッソ熊本
仕上がり具合 65%
最大の収穫はCB二人の奮闘
勝ち点で並んでいた浦和の結果次第という条件付きではあったものの、優勝の可能性を残して臨んだニューイヤーカップ鹿児島ラウンドの最終戦。今季も同じJ2で戦う磐田に0-1で敗れた熊本は、1勝1分1敗の3位で大会を終えた。
プレシーズンの調整段階であり、また相手チームが決してフルメンバーではなかったとはいえ、浦和と引き分け、清水を下したという結果そのものは、もちろん自信につながる。だがそれ以上に、ハードな日程にもかかわらず内容でも小さくない手ごたえを得たこと、そして新シーズンに向けて修正すべき課題が明確になったことも含め、大きな収穫のある3試合だった。
特に際立っていたのが、最終ラインで存在感を発揮した新加入の二人、クォン・ハンジンと大谷のパフォーマンスだ。最終戦となった磐田戦こそ疲労による判断ミスや対応の遅れが見られたが、対人の強さやチャレンジ&カバーにおける連係、そしていずれも“前への意識の強さ”をアピール。チームとして掲げるアグレッシブな守備を後ろから支える役割を果たした。またGK陣もそれぞれが奮闘し、3試合で1失点と守備が安定。これを受け、清水戦では片山をウイングバックで起用するなど、3バックがオプションの一つとして機能することが分かったのも今大会の成果だ。
1得点しか奪えなかった攻撃面では決定力を高めることが課題で、これは「着実に根気よく継続」(小野監督)するしかない。しかし、すべての試合で意図的にチャンスを作れたことは、ポジティブだ。
開幕3週間前の段階としては満足のいく手ごたえを得られた。ただ、仕上がり具合としてはまだまだ向上の余地があると見るべきだろう。(井芹 貴志)