
ズラタン、石原などが加入し、ポジション争いが激化する中で4ゴールと結果を残した李。決定力が光った
不要な3失点。優勝とともに手にした課題
清水3ー5浦和
「まだまだ大人なチームになり切れていない」。永田のこの言葉に清水戦のポイントが集約されていた。
立ち上がり、浦和はボールを支配しつつ、縦パスとサイドチェンジを使いながら攻撃のリズムを作る。そして18分、24分に李が立て続けにゴール。さらに28分に3人の選手を交代すると、その1分後に入ったばかりの武藤がゴールを決めて突き放す。3日前の磐田戦同様、チーム力と仕上がりの差を見せ付けた。 しかし、その後はペースが変わる。チーム全体として明らかにミスが増えた。正確なプレーが持ち味であるはずの西川や阿部にもミスが散見されるほどだった。そして清水に決定機を作られ続け、ミスから43分に失点。後半に入ると李が2点を追加したが、一方でやはりミスから2失点を喫した。
理由は一つではない。「3-0になって気持ち的にふわっとなった部分はあると思う」と永田が話したように気の緩みがあったのかもしれない。中2日での試合が続いて体力的に厳しい状態にあったことも確かだろう。また、ミスが起きた際のリスクマネジメントを明らかに欠いていた。それはチーム全体ではあるが、特にボランチが鈴木から柏木に代わってバランスが崩れたことは明白。磐田戦では抜群のゲームコントロールを見せた柏木だが、3-0になったあとのような展開でのプレーは課題だ。
試合のペースが崩れた原因はシーズン中も十分に考えられる要素であり、“大人なチーム”になることはタイトルを獲るために必須だ。この試合で浦和は優勝とともに課題も手にした。ただ、いまはあくまでプレシーズン。課題もすなわち成果であり、まだまだ伸びシロがあるという意味でもある。 (菊地 正典)
◆浦和レッズ
仕上がり 具合 70%
橋本、武藤など新戦力が早々にフィット
このキャンプ、そして中2日で3試合行われたニューイヤーカップでは、新戦力の戦術理解とそのほかの選手との連係が主なテーマだったと言えるだろう。ほぼ同じメンバーで連係構築を高める手法を取ることが多いペトロヴィッチ監督だが、今季はACLを戦うこともあり、メンバーを固定することなく3試合を戦った。
新加入の中でまず目を引いたのは橋本だ。出場した2試合の全8得点中5得点に絡む活躍。本人は「たまたま点につながっただけ」、「中2日のキツい中なので進歩の実感はまだない」と話すが、昨季の課題だったクロスからの得点が増えそうな予感を十分感じさせた。また、激戦区のシャドーの位置では武藤が一歩リード。出場3試合連続(熊本との練習試合含む)でゴールを挙げていることはもとより、自身が「みんなが僕の特徴を分かってきてくれたと思う」と話せば、那須は「理解度がすごく早い」と評価。柏木も「思っていた以上に出来が良い」と舌を巻いた。ズラタンも磐田戦で軽い打撲を負ってしまったが、前線での高さとキープ力は興梠の代役以上の存在となりそうだ。
一方で石原、高木はもう一歩か。石原は昨季まで所属した広島がフォーメーションを含めて似ているぶん、フィットも早いと思われたが、逆に似ているだけに周囲とのタイミングの違いにまだ戸惑っている。高木は戦術、ポジションの違いにまだ慣れていない様子。また、加賀は胃腸炎で出遅れてしまった。
新戦力のほかにも青木や李など、昨季以上の活躍を予感させる選手もおり、チーム力は上がっている印象。現時点ですべての選手の計算が立ったとは言い難いが、ひとまず25日のACLから続く過密日程に向けて順調に調整が進んでいると言えるだろう。(菊地 正典)
◆清水エスパルス
仕上がり 具合 45%
結果も出なければ、内容も良くない
ニューイヤーカップ鹿児島ラウンドは清水にとって不安を募らせる結果となった。この時期は結果がすべてではないとはいえ、内容も良くない。守備面では昨季の総失点数60を減らすことを目標に掲げているが、浦和戦では5失点を喫した。課題であるセットプレーでまたもや失点しまうなど、なかなか改善の兆しが見られないのが現状である。
ただ、ここに来て攻撃面には光が見えた。前線の選手の積極的なプレスでボールを奪うと、村田を相手の裏に走らせるという力技で3得点を奪った。始動日からの走り込みの効果か、90分走り勝つこともできていた。途中出場がほとんどだった村田が前半から使えることを証明するなど、個々のコンディションは上がってきているようだ。
あとは、チームとしての完成度だ。パスの出し手と受け手の呼吸、守備での意思疎通など、連係面の強化を急がなければいけない。大勢のけが人などでメンバーが固まらなかったこともあるが、開幕まで残された時間はそう多くない。そこで大事になってくるのは選手間の“声”かもしれない。浦和と比較すると清水は声が出ていなかった。もちろん、マークの確認の声などがないわけではない。しかし、それ以上の声が出ていることはほとんどない。浦和は宇賀神の1本の縦パスについて、梅崎と阿部を加えた話し合いが始まるなど、試合中であっても即座に問題を解決するような声が出ていた。清水としては開幕まで残り少なくなってきた貴重な実戦の場を、もっと大事にする必要がある。そのために選手一人ひとりが意識を高め、どうやったらチームとしての完成度が上がるのか考えなくてはいけない。(田中 芳樹)