
本来は泥臭さを持ち味とするボランチだが、中村の離脱を受けてトップ下で起用された喜田。プライマリーから横浜FM育ちの生え抜きが、評価を高めている
あらためて期待されるモンバエルツ監督の手腕
チームの中心は、今年も中村のはずだった。36歳になったいまも技術面に衰えはなく、キャンプ中のトレーニングではチームトップクラスの運動量を誇っていた。実績と経験値に秀でているのは言うまでもなく、主将に任命したという事実からもエリク・モンバエルツ監督が信頼を寄せていたのは間違いない。
しかし、始動直後から頭を悩ませていた左足首痛が宮崎キャンプ中に再発。プレーはおろかランニングすらできず、ついに手術を決断した。「しばらくは彼のいない中でチームを作っていかなければいけない」とモンバエルツ監督。3月7日の開幕戦のピッチに背番号10が立っている可能性は限りなくゼロに近いため、チーム作りはふりだしに戻った。
それはつまり、中村を中心に据えたチーム作りをしていたからである。[4-2-3-1]のトップ下という本人がお気に入りのポジションに置き、特に攻撃面は中村の技術や展開力、あるいはシュートテクニックを中心に組み立てる。今年もオーケストラの指揮者を任されるはずだった。
代えの利かない存在を一時的に失った横浜FMはどうすべきか。いつまでも中村におんぶに抱っこしているわけにもいかないのだから、ほかの選手で急場をしのがなければいけない。プレースタイルそのものをコピーするわけではなく、同じレフティーの藤本にはその期待がかかる。移籍加入2年目の覚醒が待たれる。
一方で[4-2-3-1]の解体も視野に入れるべきだろう。中村のためのシステムではないが、中村が最も生きるシステムだったのは事実だ。その選手がいないのだから、起用可能な選手をベストな配置に並べる策も考えられる。たとえば[4-4-2]を採用し、ラフィーニャと伊藤、あるいは齋藤を前線で組み合わせる一手があってもいい。
沖縄と宮崎でのキャンプを終え、モンバエルツ監督は「要求していたことに対して高い適応力と理解力を示してくれた選手たちを褒めたい」と話した。そのとおり横浜FMは中村抜きでも十分に戦える戦力がある。素材の良さをいかに組み合わせ、味を引き出すかは、フランスからやってきたシェフ次第である。(藤井 雅彦)