ピッチに響きわたる声
宮崎キャンプ最終日の2月21日、仙台とのトレーニングマッチ。C大阪が1-2でビハインドを負っていた後半ラスト10分のことだ。
「もう一度前から行って、点を取りにいこう!」
関口訓充の大きな声がピッチに響きわたった。その言葉をチームに伝えた彼自身、この時間帯にもかかわらず、運動量をまったく落とさずにプレスを掛け続け、最後まで前線を駆けていた。残念ながら結果的にスコアは動かず、試合は終了した。
「去年のセレッソは、失点したあとさらに失点を重ねることもあったと思う。その点、今日は失点しても一度は追い付けた。それは良かったことだし、そういう力がチームにはある。失点後にどういう気持ちの持って行き方をするのか。落ち込むのか、さらにギアを上げて全員で取り返しに行くのか」。試合後、そう語る姿は頼もしかった。
勝利への意欲をむき出しにしてチームを鼓舞したこの日の姿は、キャンプ全体をとおしても印象深いシーンの一つだった。試合の相手が古巣の仙台だったせいかもしれない。試合後は仙台の選手たちと旧交を温め、在籍当時に両輪としてチームを支えたリャン・ヨンギとも会話を交わした。「リャンさんとは(仙台での)同期で、ずっと一緒に戦ってきた仲間。懐かしい気持ちもあった」。浦和での悔しい思い
仙台には、プロ入りした04年から12年まで9年間在籍した。手倉森誠監督(当時)の下、メキメキと頭角を現し、09年にはJ2昇格に貢献し、10年には日本代表にも招集されている。しかし、プロとしての苦楽を経験した地を離れて浦和へ移籍した13、14年の2年間は思うようにチームに貢献できず、悔しさもため込んだ。その点で、J2で再起を期すC大阪と自身の状況が重なる。「自分としてはこの2年間は悔しいシーズンを送った。ここでもう一度自分の存在価値をアピールして、結果を出して、必ず1年でJ1に復帰したい」。
クラブ、そして一人の選手として、今季は自身の存在価値を再証明するシーズンとなる。そのための第一歩となる宮崎キャンプでは、練習試合でのプレーぶりも含め、攻撃陣の一角に割って入る立ち位置をつかんだと言えるだろう。現状の控え選手を中心に組まれた2月18日の岡山戦(2○1)では2得点に絡んでチームを逆転勝利に導き、先の仙台戦では、開幕先発と目されるディフェンスライン、中盤のメンバーとともに初めて先発した。「連係面で不安な部分もあったけど、形も作れたし、僕とマル(丸橋祐介)の関係でサイドを突破できたシーンもあった」と手ごたえをつかんだ様子だ。仙台戦の山口蛍の得点は、関口のCKを玉田圭司がスルーして決めたモノでもあった。宮崎キャンプ後、「開幕に向けて連係をさらに高めていきたい」と攻撃面に関して話していたパウロ・アウトゥオリ監督だが、フォルラン、カカウ、パブロの助っ人トリオと玉田に加え、その頭の中には「クニ(関口)」の名前もしっかりとインプットされている。
J2優勝でのJ1昇格を達成し、09年も含め、仙台でのJ2時代を振り返った関口は、「J2は簡単ではない」と語る。そして、「J2を勝ち抜く上で何が一番大事かと言えば、90分間最後まで相手より走ること」とも続けた。
一心不乱にチームのために全力で走る彼の姿は、1年でのJ1復帰に懸けるC大阪のシンボルともなり得る。(小田 尚史)