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[横浜FM]アデミウソン 王国の“エリート”ストライカーがJに来襲

2015/3/4 17:49

各年代別代表に選ばれるなどサッカー王国・ブラジルでも期待される若きストライカーが横浜FMに加入した



愛称は“アデミューレル”

 Jリーグを経由して欧州のトップシーンに羽ばたいたフッキ(現・ゼニト)やドゥンビア(現・ローマ)と同じ道筋を辿る可能性があるサッカー王国の俊英がアデミウソンである。

 近年、やや小粒なタレントが増えつつあるブラジルのサッカーシーンにおいて、三度の世界一を誇るサンパウロFCの下部組織は継続的に世界的なクラッキを生み出してきた。カカ(オーランド・シティ)やオスカル(チェルシー)、そして近年の最高傑作、ルーカス・モウラ(パリSG)。ブラジルでも特に生存競争が厳しいサンパウロの下部組織で十代初めから厳しい生存競争を生き残ってきたアデミウソンが最初にその頭角を現したのが11年に行われたU-17W杯だった。「本大会に招集されたのはサプライズだった」。当時、こう振り返っていたが、本大会にいきなり招集されると通算5得点でチーム得点王に。背番号9を背負ってプレーした日本戦でも、得点を決めている。

 浅黒い肌と、ストライカーにありがちな抜け目ないプレースタイルが、若き日の天才ストライカー、ロマーリオに例えられることもあったが、デビュー当時はかつてサンパウロでプレーしたブラジル代表のミューレルさながらのスピードを持つことから得た愛称は“アデミューレル”。抜群の瞬発力と左右両足から放つシュートセンスに加えて、ワンタッチゴールも得意なストライカーは、Jリーグへの適応に苦戦しがちなドリブラーではない。U-17ブラジル代表を皮切りに各世代別代表を経験してきた紛れもないサッカー王国のエリートだ。

本人にとってもこの挑戦は正念場

 ただ、プロデビューを果たした12年以降、クラブ側の高い期待には必ずしも応え切れず、1年を通じてレギュラーを確保したシーズンはいまだない。近年はネイマールを除けばモンスター級のアタッカーを輩出し切れていない王国にあって、21歳になってもA代表経験がないのはアデミウソンがやや伸び悩んでいることを物語る。

 一昨年、クラブ史上最年少でコパ・リベルタドーレスの得点を決めたものの、決勝トーナメント1回戦ではアトレチコ・ミネイロ相手に前半だけで4つの決定機を逸し、チームは敗退。この試合に象徴されるように、イージーなシュートを外す悪癖と、ややメンタル面でムラがあるのがサンパウロでの定位置確保を妨げてきた。

 指揮官のムリシ・ラマーリョも「アデミウソンの課題はフィニッシュの精度」と指摘し続けてきたが、今季は前線にパト、ルイス・ファビアーノ、アラン・カルデッキら新旧のセレソンがそろう上に新たにアルゼンチン代表のセントゥリオンを獲得。始動後の1月におたふく風邪に感染し、ポジション争いで出遅れていたアデミウソンにとって、日本での挑戦はサッカー人生の分岐点になるはずだ。

 課題を克服し切れずに世代別代表止まりのFWで終わるのか、それとも自国開催のリオ五輪で初の金メダルを目指すメンバーに食い込み続けるのか──。課題と限りない可能性を併せ持つ21歳がJにやって来る。(下薗 昌記)

アデミウソン(Ademilson)
1994年1月9日生まれ、21歳。ブラジル出身。176cm/74kg。ブラジルの名門サンパウロFCの下部組織出身で、ブラジルの世代別代表でも常にエースとして活躍。11年のU-17W杯でチームは4位に終わったが、自身は5得点を挙げる活躍を見せた。昨年はU-21ブラジル代表としてトゥーロン国際大会に出場し、優勝に貢献。母国開催となる16年のリオ五輪でも活躍が期待されるストライカー。

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