■横浜Fマリノス
新生・横浜FMの初陣。最高の船出となるか
横浜FMは今季から新たにエリク・モンバエルツ新監督を迎えたが、基本的なスタンスは変わらない。そもそも監督選考の段階から大きな変革を望んでいなかったのだから、開幕スタメンの大半を実績ある選手たちが占めているのは当然なのかもしれない。
樋口前監督時代から採用している[4-2-3-1]は不変で、例えば2トップなどはプレシーズンで一度も試していない。前体制時ほど前から圧力を掛ける守備ではないが、陣形をセットした状態から積極的にボールを奪いに行く。攻撃では後方からのビルドアップを強調しており、GK榎本からショートパスをつなぐ場面も多い。「自信を持ってやる」と言い切ったのは攻守のリンクマンであるボランチの中町だ。
誤算があるとすれば開幕までに負傷などのアクシデントが相次いだこと。キャンプ中に左足首の痛みを訴えた大黒柱・中村の復帰は早くても4月中旬の見込みで、1トップ候補だったラフィーニャは開幕1週前の練習試合で右足首を痛めて離脱した。また、新戦力として期待されるアデミウソンのJデビューは早くても明治安田J1・1st第2節・FC東京戦となる。ほかのJクラブからの補強はゼロで、前線の駒不足は否めない。
それでも横浜FMには昨季リーグ最少失点を誇る堅牢な守備がある。ディフェンスリーダーの中澤は「ウチは失点してはいけないチーム。監督が代わっても、そこはブレたらいけない。守るという当たり前のことを当たり前にやればいい」と自信をのぞかせる。昨季の対戦では二度とも完封勝利を収めており、川崎Fに対して苦手意識は一切ない。
「何よりも勝つことが一番の自信になる」と話したのは中澤とともに守備を仕切る栗原である。半信半疑の状態から目的へ勇往邁進するためには、開幕戦での勝利が欠かせない。その相手として隣町の川崎Fとの神奈川ダービーは最高の舞台設定だ。横浜FMは勝ち点3とともに新たな航海をスタートさせる。(藤井 雅彦)
■川崎フロンターレ
タイトル奪取のために“壁”を越える
「どの試合でも毎試合勝てるようにと今までやってきたので。それ自体は変わらない」(大島)。今季から明治安田J1リーグの制度が変わるのは周知の事実ではあるが、だからといって何かを変える必要はない。風間監督も日々言い続けていることではあるが、これまで継続してきたサッカーの質を高め、義務付けられたタイトル奪取に向かって歩みを続けるのみだ。
小林や大久保ら強力なアタッカー陣が織り成す質の高い攻撃は今季もリーグ屈指だろう。特に昨季の序盤から中盤にかけて披露したサッカーはリーグに旋風を起こした。終盤で失速してしまったため、前年度の順位を下回る結果となってしまったが、“川崎Fのサッカー”を多くの人に強く印象付けたシーズンだったことは間違いない。
しかし、その弊害もある。「明らかに以前よりも対策されている感じはあった」と谷口が語るように、今年2月に等々力で行われた二つの練習試合において、相手は川崎F対策を講じてきた。昨季も相手に中央でブロックを作られると苦戦していた。相手の警戒が強くなることが予想される今季は、そうした“壁”を乗り越えていくことが求められる。
そうした意味でも開幕戦は、大きな試金石となる。なぜなら相手は昨季のJ1リーグ最少失点チームである横浜FM。彼らが誇る強固な守備陣を崩して得点を奪い、勝ち点3を奪うことができれば今後に向けて大きな自信となる。それはタイトル奪取への足がかりにもなるだろう。
ただ、横浜FMの堅守を崩すのはそう簡単ではない。昨季、横浜FMとはリーグ戦で2回対戦し、0-3(J1第14節)、0-2(J1第21節)と自慢の攻撃陣が封じ込まれ、完敗している。だが、ここでつまずいているようではタイトルに近付くことはできない。開幕戦でJ1最強の“盾”を打ち崩し、悲願のタイトル奪取への第一歩としたい。(竹中 玲央奈)