■名古屋グランパス
セカンドボール奪取からの二次攻撃を
14年の西野監督就任を機に、チーム再建と世代交代の二兎を追う名古屋。メンバーもフレッシュな面々に変わってきた。イチからのチーム作りとなった昨季は苦しんだものの、後半戦の成績はリーグ4位。若い選手たちが積んだ昨季の経験は、決して小さくない。
昨季からのチームカラーは堅守速攻。カウンターとセットプレーの強度は継続して増している一方、基本スタンスとする前線からの守備で奪いどころが定まらず、ボールを保持した際の拙攻が続くなど気になる点も多い。現在は前線が日本人だけで構成されていた昨季後半戦からノヴァコヴィッチが加わった影響もあり、攻守で連係できない齟齬が生じている。
ならば、現状の最大値を出すのみだ。内容の良かった3日の紅白戦を振り返った永井が「あれだけみんなが動けば機能する」と一定の手ごたえを話したように、全員のハードワークこそチームの根幹。「間違いなく理詰めでは崩せない。ショートカウンター、セカンドボールからの二次攻撃をしかけない限り、得点は難しい」(西野監督)松本が相手であれば、なおさらだろう。
3日には出場が危ぶまれていた主将・闘莉王とレアンドロ・ドミンゲスも合流。右ふくらはぎ痛の矢野は先発を回避するが、代役の竹内を含め、ピッチのあちこちで攻守の連係確認が持たれた。率先して音頭を取ったのは、田口や牟田といったクラブの未来を担うべき選手たち。近年にはなかった光景が、変革2年目への強い決意を感じさせる。
「みんなとコミュニケーションを取りながら、あとはピッチでやるしかない。やっぱりチームを良くしたいってすごく思うから」(田口)。
強い決意を、あとは試合で証明するのみ。(村本 裕太)
■松本山雅FC
[3-5-2]の採用も視野に、静岡でミニキャンプ
蹴春到来。チームはまだまだ寒い松本を一時離れ、春めいた陽気の静岡県でミニキャンプを敢行。来るべき開幕戦に向けての調整に余念がない。
反町監督は、勝敗を分けるポイントの一つに中盤での攻防を挙げる。「相手のストロングな部分を理解した上で、いかに自分たちのストロングな部分を長い時間出せるか」。名古屋のストロングな部分、つまりレアンドロ・ドミンゲスと永井の両名をどう抑えるか、だ。静岡でのミニキャンプではこの部分にスポットを当てたトレーニングを行っている。その一環が、慣れ親しんだ[3-4-2-1]ではなく、アンカーを配置した[3-5-2]の採用を視野に入れている点。これまでも4バックのチーム相手には[3-5-2]で臨んできた経緯もあり、可能性も十分あるだろう。この点について指揮官は「ノーコメント」としているが、試合開始直前まで両睨みの気配が漂っている。
ただ、開幕を前に不安点も見えてきた。1日の栃木とのプレシーズンマッチではチームのベースである守備が機能したとは言えず、冷や汗をかく場面もたびたびあった。また、この試合で岩沼が負傷し、現在は別メニューで調整している状況。出場は不透明で、「出られるかどうか分からない。100%できない選手は送り出せない」と反町監督は眉をひそめた。
必ずしも良好とは言えない、現在のチーム状態。それでもいまは、不安よりも期待のほうが勝る。自身もJ1初挑戦となる前田が皆の気持ちを代弁する。「開幕戦が楽しみ。J1でチームと自分がどれだけやれるかワクワクしている――」。誰もが胸の高鳴りを抑え切れず、その瞬間をいまかいまかと待ちわびている。地方の小クラブの“大きな挑戦”の幕開けだ。(多岐 太宿)