シュート数を見ても分かるように試合展開そのものは名古屋が主導権を握っており、これは予想の範ちゅう。しかし、打ち合いとなったことについては想定外だった。32分に岩上の右CKからオビナが頭で合わせると、63分に池元が楢崎のファンブルを逃さずに押し込み、76分にはオビナのポストプレーから喜山がゴールネットを揺らす。2度にわたって得点直後に取り返されたことはもちろん反省点とはいえ、強豪相手に常にリードを保ち続けたことではずみがついた。
攻撃面での主役を挙げるならば、1得点1アシストのオビナだろう。恵まれたフィジカルを生かしてのパワープレーはもちろん、この日目立ったのは足元のうまさとチームプレーに徹する姿勢。スルスルと抜け出すドリブルや精力的な守備で汗をかくなど、あくまでもチームのピースとして貢献した。
そして、試合終了間際のPKの場面では守備面での主役が魅せる。絶体絶命のピンチにおいて、村山が闘莉王のキックを阻止。「事前に闘莉王さんの(キックの)傾向はチームから情報として耳にしていた。ギリギリまで我慢して、先に飛ばないで良かった」と大仕事にも淡々と振り返った。結果的には3失点したものの、序盤から好セーブで試合を壊さなかった。
勝ち点2を落とした、という見方ももちろんある。試合後の選手の表情も決して明るくなかった。ただ、打ちひしがれた様子もなかった。「やれる部分と足りない部分が分かった」(村山)との言葉どおり、期待を抱かせるポジティブな側面もあったことは事実だからだ。松本にとって、大きな意味を持つ勝ち点1となった。(多岐 太宿)