戦う――。華麗なテクニックや巧みさではなく、ファイトする姿勢が詰まった一戦だった。
守備での持ち味が似通う両者だけに、コンタクトプレーの優劣が勝敗に直結することは予想できた。そしてそのとおり、立ち上がりからピッチのあらゆる局面で肉弾戦が繰り広げられる。中盤のセカンドボール奪取からの速攻で新潟が先制するも、試合は拮抗。それが決壊したのは、22分の舞行龍の負傷交代だった。代わって入った大野が豊田との空中戦で劣勢を強いられる。新潟の中盤は最終ライン付近まで吸収され、セカンドボール争いを鳥栖が制圧するようになった。ボールを持つのではなく、ハードに相手のイヤなところを突き続け、鳥栖は主導権を握った。フィジカルコンタクトが多いぶん、小競り合いも増えたがそれも戦えていた証拠、相手を苛立たせていた証拠でもある。「終始、鳥栖のリズム」と柳下監督が脱帽したとおり、“戦う”点で鳥栖が圧倒した。
森下新監督を迎えた今季、チームがどう変わっていくのか。期待と同様、不安も少なからずあった。鳥栖が長きにわたって積み上げてきた特長は“戦う”こと。戦術的な完成度はまだまだだが、少なくともその伝統が不変であることを確信させる勝利だった。( 杉山 文宣 )