後半、エウシーニョからのスルーパスをフリーで受けてシュートまで持ち込むも、GK榎本の好セーブにあい、この日2点目を記録するには至らなかった。いつもであれば、試合後には「決めるチャンスがもっとあった」とこの局面を悔やむのが小林悠である。しかし、この日は違った。「良いコンディションでやれたし、チームとしてもいろいろなところから攻められるサッカーができていた。開幕戦としてはすごく良かったのではないかなと思う」とこの日の自身とチームを、非常に肯定的に捉えていた。
先制点をアシストし、決勝点を記録。2年連続の開幕戦でのゴールということもあり、この数字だけを見ても十分な働きをしたと言えるだろう。だが、数字以上に、この日の彼は輝いていた。前述のコメントのような高い評価も納得できるほどに。
日本屈指の対人守備能力を誇る中澤と栗原に体を寄せられても簡単に倒れることのないボディーバランスに加え、体制を崩しながらも足元のボールを離すことのない技術力。難しい状況でも決してボールを失うことなく、フリーの味方へつなぎ、自らフィニッシュまで持ち込むことを可能にする。置かれた状況がどのような形であれ、自身の長所を引き出す姿はまさに“代表級”だった。「目標は15点以上」と語るが、その数字に収まらない素質は十分にある。
「オフ・ザ・ボールに長けた選手」。彼に対していまだにこういうイメージがあるかもしれない。だが、もうそれだけの選手ではない。いまの彼は、ボールを持ったときほど、怖さを発揮する。(竹中 玲央奈)