記念すべき初陣で勝ち点は得られなかったものの、この日の金沢の戦いぶりは良い意味で多くの予想を裏切った。
キャンプ中、練習試合で立ち上がりの失点が多かったという課題はチームで共有され、「前半ゼロでしのいで後半に勝負をかけられれば」と開幕前に作田が話していたように、試合の入り方がポイントだった。
強固な守備が強みなのは間違いない。この日は最終ラインに本来はCBの選手を4人並べている。ただ、いわゆる“ベタ引き”ではない。金沢は大宮相手に3ラインをコンパクトに保ち、最終ラインと前線が連動して前からプレスを掛け、優勝候補を慌てさせた。
開始早々“決めに行く”形でシュートを立て続けに3本放ち、最高の試合の入りをしたと言い切れる。大宮が主導権を握った時間帯もうまくスペースを消し、警戒していた家長からムルジャに入ってくるボールにも4CBが数的優位を作り、粘り強く対応した。終盤、足が止まって密集の中から得点こそ許したが、実りある90分間を森下監督は「結果は残念だが今後戦っていける自信は持てた」と振り返る。攻守で躍動した清原は守備の手ごたえを語った上で「カウンターの最後の精度を上げていきたい」とホーム開幕戦を見据えた。
サポーターにとっても初めてのJ2。試合前は不安もあったはずだ。守備に自信を持つチームが万一、ビッグクラブ相手とはいえ失点を重ねた場合、やはり受けるショックは大きい。そんな思いはチームの堂々たる姿を見て杞憂に終わり、さらなる期待を生んだことだろう。
ブレない軸を持ち、一体感を武器に一つひとつの試合に臨む―。選手たちの充実した表情が得たモノの大きさを物語る。“かがやき”のときが訪れる日も、そう遠くない。(野中 拓也)