■松本山雅FC
ロースコアの戦いに持ち込みたい松本。セットプレーでワンチャンスを
12、13シーズンにリーグ連覇を果たし、昨季も富士ゼロックス・スーパーカップを獲得。3季続けてタイトルを獲得した広島がリーグきっての強豪であることは、今さら説明不要だ。では、J1元年を迎える松本に勝機はないのか。そうは言えないのがサッカーの面白さである。
7日の開幕戦を思い返せば、終盤に捨て身の攻撃をしかけてきた名古屋の猛攻に苦しんだ。その力強さの前に勝ち点2を失ったことは課題であろう。しかし裏を返せば、それだけ名古屋に冷や汗をかかせたということ。川又を投入し、闘莉王を前線に上げるほどのリスキーな選択をさせた理由は、松本がセットプレーから2得点を挙げたことにある。キッカーの岩上も「自分たちの強みで点を取れたことは良かった。中で合わせてくれた選手に感謝したい」と振り返る。精度の高いキックを供給する出し手と、中でタイミング良く合わせる受け手。早いボールをニアに上げて、相手DFよりも先に触るという狙いを徹底させたスカウティングの妙も光った。 分析の陣頭指揮を執る反町監督は、今季の広島について「驚きはまったくない」と評する。つまり、例年どおりの強さを秘めているということだ。「ディフェンスにはスキがない。昨季も崩されての失点はほとんどない」(反町監督)との言葉どおり、開幕戦でも甲府を零封。堅牢な3バックの間隙を突いて、カウンターあるいはセットプレーでワンチャンスを生かすことができるか。バリエーション豊富な広島の攻撃を耐え切ることがまずは前提となるが、展開としてはロースコアのゲームに持ち込みたい。広島相手に攻守が機能すれば、この先の戦いにも希望が芽生える。その意味で今季の試金石となる一戦だ。( 多岐 太宿 )
■サンフレッチェ広島
入念に進める気持ちと体の準備。技術と経験値に自信
松本の記念すべきJ1ホーム初戦の敵となる広島は、気持ちと体の準備を整えてきた。森保監督は「サポーターの素晴らしい後押しを受けて普段持っているもの以上の力を出してくる。覚悟して戦わないといけない」と松本戦を睨み、選手たちも「相当、手強い相手。自分たちも気持ちの強さを出していかないといけない」(塩谷)と話している。昇格チームを上から見下すような雰囲気は微塵もない。
その“本気度”は練習からも伝わってきた。11日の実戦形式の練習では森保監督から「前に早くボールを運んでくる」、「競ったあとのカバー」、「こぼれ球が重要」といった要点が伝えられ、サブ組には松本の戦術を意識させてハイボールを織り交ぜた攻撃と前線からのハイプレッシャーを要求した。ロングスローとセットプレーへの準備にも抜かりはない。広島がここまで明確に相手を意識した練習を行うのは珍しいが、特別に何かを準備しているわけでもない。千葉は「対策というよりも基本的なことをしっかりとやること。チャレンジ&カバーをしっかりとして、あとはセカンドボールですね」と語り、「自分たちのほうが経験はあるし、松本の勢いをうまくいなしたい」と自信も見せた。過去2年間はアジアの舞台でも戦ってきたチームは、フィジカルを前面に押し出した韓国のサッカーとも、豪州のパワフルなサッカーともやり合ってきた。異国で完全アウェイの雰囲気も経験している。決してナイーブなチームではない。アルウィンの雰囲気への警戒を語った佐藤は「やりにくいというよりやりがいのほうが大きい」と微笑んでいた。 松本の勢いに対抗する準備は行った。そして、技術と経験で上回って自分たちのペースで試合を進める経験値を広島は有している。( 寺田 弘幸 )