■サガン鳥栖
開幕連勝へ。鳥栖の自律精神は、今季も健在
長きに渡って続いていたユン・ジョンファン体制に終止符を打ち、その後の吉田恵体制を経て、外部招へいで森下監督が就任した鳥栖。期待と同様に不安もあった中、開幕戦で勝利(新潟・2○1)を挙げた意味は大きい。「これから落ち着いて今後の試合に入っていける」と菊地が話すように、良い意味での安堵感を手にした。しかしながら、「ベストなゲームをしたわけではない」(豊田)と決して浮かれることはない。自分たちを厳しく見つめ直すことができるのも、鳥栖の良さだ。練習の雰囲気も開幕前の緊張感と何ら変わりはなく、「厳しく求められているモノを理解しながらやれている」(豊田)。鳥栖の“自律”という伝統は今季も健在と言えるだろう。
ホーム連戦でスタートできることは鳥栖にとってはアドバンテージ。ステージ制覇のためにもスタートダッシュ、つまりは開幕連勝を狙いたい。ただ、ここで迎える相手は昨季の三冠王者だ。森下監督はG大阪について「個人が強いぶん、ウチはよりグループ、チームで戦う試合にしたい」と組織としてのまとまりを強調していた。走るイメージの強い鳥栖だが、開幕戦でのトラッキングデータによるとリーグ上位20傑に入った選手はいない。しかし、森下監督は「記録に、数字に表れないプレー、勝負にとって一番大事な部分で相手を上回りたい」と意に介していない様子。球際や両ゴール前での粘りなど勝負に直結する部分で上回る。ゲームは支配されても勝負はモノにする。これまで鳥栖がG大阪に勝ってきた試合でそうだったように、今回もその再現を目指す。リーグ戦では過去3勝1敗と勝ち越している。開幕スタートダッシュの勢いを加速させるには、三冠王者は絶好の相手だ。( 杉山 文宣 )
■ガンバ大阪
DFがゴリ押しに屈せず、逆にゴリ押しを繰り出す
後半ロスタイムに痛恨の同点弾を喫し、ドロー発進だったG大阪。2トップがともにゴールを叩き出すなど、前線の迫力を取り戻しつつあるチームにあって、鳥栖戦で試されるのはズバリ、守備の耐久力である。
ACLの連敗スタートを含めて、公式戦4試合ですでに6失点。この現状は昨季、堅守を築き上げた三冠王者本来の姿ではない。ロングボールに競り負けたり、CBが最後の対応で甘さを見せたりと、最終ラインが脆さを見せているのは否めない。
そんなG大阪にとって、直後の17日に控えるACLグループステージ第3戦・ブリーラム戦との大一番に向けて格好の試金石となるのがこの鳥栖戦だ。「相手の武器はロングボールからの攻め」(丹羽)。これほど自らのストロングポイントを愚直に90分間、繰り出して来る相手もそうはいまい。豊田のエアバトルと、セカンドボール狙いのハードワーカーたちをいかに封じるか。それが必須のタスクになるだろう。
チームにとって最大の悩みだった今野の穴は、現状明神がフルにカバー。「徐々に状態が上がってきた」と話す遠藤とのボランチコンビは、守備面の機能性を見せ始めているだけに、やはり最終ライン4人が局面の対応で遅れをとらないことが不可欠だ。
一方、攻撃面では“戦術パトリック”を全面に打ち出しても面白い。昨年9月の対戦時(J1第26節・4○1)には圧倒的な破壊力を見せた背番号29について「相手の左SBにぶつけても面白い」と丹羽。うかつなパスは鳥栖のカウンターの餌食になりかねないため、シンプルな攻めを意識するのも良い。「ボールが落ち着かない時間帯も割り切る」(遠藤)。相手のゴリ押しに屈せず、逆にゴリ押しで勝ち切りたい一戦だ。( 下薗 昌記 )