接して徐々に出来上がったイメージは、シャイな優等生で周囲に気を遣ういい人…で、一人でも平気なタイプ。阿部翔が甲府に移籍加入したのは2014年1月のこと。名古屋での出場記録を見ると、大卒2年目以降はほぼフル出場を7シーズンも続けてきた選手なのにそこまで知り得なかった選手であることを恥じた。それ以来、妙に好奇心を引かれるようにもなった。
市立船橋高OBなので、雑談の入り口によく利用するのは布啓一郎元市立船橋高監督(現・岡山コーチ)がJリーグの舞台に立った話。「布さんが『一緒にやらねぇか』と言ってきたらどうする?」と聞くと、「やらざるを得ないですかねぇ」と苦笑い。このことを布コーチに伝えると、「そう言わざるを得ないんでしょうねぇ」と苦笑い。昨季は城福浩前監督の下でリーグ戦全試合に先発し、うち32試合がフル出場。ほとんどのキックは左足。相手がそれを分かっていてもキックの種類やタイミングを変えて仕事をやり遂げる。タフなのにシャイで、「俺みたいなマイナーな選手でいいんですか」とTV局の取材を受けるときにボソッと言うほどだ。しかし昨季J1出場247試合目で初ゴールを決めるというJ1“最遅”記録を達成した男が第2号を、それも決勝ゴールとして古巣の名古屋から決めたとなれば記者が食い付くのは当然。でも、話すことはやっぱり地味。「僕はアシストの選手ですから…」。山梨の地でノーゴールの呪いが解けても阿部翔、マイペースです。(松尾 潤)