まるで、何年も前から大宮を支えてきたかのような存在感だ。
2試合連続得点、そして今節は決勝点を挙げた河本。2012年に所属した経験があるとはいえ、その活躍は今季神戸から移籍してきてまだ公式戦3試合目とは思えないほど。主将・菊地をして「頼りにしている」と言わしめる男は、すでにチームを支える屋台骨として輝きを放っている。
渋谷監督が「(移籍前から)安定した守備ができるということは分かっていた」と信頼を口にするように、河本の守備能力は折り紙付きだ。京都戦で公式戦復帰となった菊地とのCBコンビも「キク(菊地)とはそんなに話さなくても、お互い分かり合っている」(河本)というレベルで、連係面にも何ら問題がない。いまさらそのクオリティーについて議論されるような選手ではないだろう。
そんな背番号3がチームにもたらす付加価値は、その動じない姿勢だ。
ここまでの戦いを振り返れば、第1節・金沢戦(1●0)、そして今回の京都戦では、焦らず最後まで攻めた結果として決勝点を手にした。第2節・C大阪戦(1○3)では最終的に敗れたものの、先制点を許してもバランスを崩すことなく戦い、一時は自身の得点で同点に追い付いた。焦れずに戦うチームを後方から支えるのがブレない男の仕事であり、京都戦でも「相手どうこうより、自分たちのプレーをやろうということでやっていた」とやるべきことを続けた先に、決勝点が待っていた。「下位のチーム相手でも厳しい試合は絶対にある」と認識するJ2での長い道のりを意識し、我慢強く戦うことの重要性を説き、そして自らが率先して実践する。そんな男の背中が、チームに落ち着きを与えている。
これから先、もっと苦しい時期も必ず訪れる。そんなときでも河本は、きっと我慢強く、そして力強く戦い続けるだろう。その姿勢がチームを着実に前へと進めてくれるはずだ。(片村光博)
河本裕之(こうもと・ひろゆき)
1985年9月4日生まれ、29歳。京都府出身。183cm/72kg。明石FC→FC西神→滝川第二高→神戸→大宮→神戸を経て今季、3年ぶりに完全移籍で大宮へ加入したCB。12年には菊地光将とCBを組んでいた。J1通算181試合出場10得点。J2通算47試合出場9得点。