■伝家の宝刀。ゴール前を固め、攻撃をはね返す
アウェイ側2階席を覆い尽くす緑。それ以外を埋め尽くすオレンジ。試合前から応援合戦が激しく続く。この日のアイスタは熱気にあふれていた。
最初にチャンスをつかんだのはアウェイの松本だった。14分、岩上のクロスをオビナがワントラップから振り向きざまにボレーシュート。ネットは揺らしたが、これはオフサイドの判定。さらに、19分、左スローインからオビナ、岩上とつなぎ、岩上が清水DFの背後にふわりと落とす。飛び出した池元のシュートはGK杉山力が一度は止めたが、そのこぼれ球に詰めたのは、松本のCB飯田。長い距離を走って正確に押し込み、先制点を奪った。
その後も松本はスローインを起点とした分厚い攻撃で清水を苦しめた。32分にはヤコヴィッチがペナルティーエリア内でボールの処理にもたつく間に喜山に詰められ、ヤコヴィッチの足がかかってPKの判定。オビナのPKは上に外れたが、清水の「うまくいかなさ」が目立つシーンだった。攻撃面でも清水は、前半こそ積極的にシュートを打つ場面もあったが、枠に飛んだのは長沢のミドルシュートのみ。村田、ウタカの個の力を使うこともできず、ほぼチャンスを作ることはできなかった。「このままでは終われない。チャレンジしろ!」大榎監督のハーフタイムのコメントは、チームの状況を端的に表していた。
後半開始早々、清水は左サイドを崩され、岩上にフリーでヘディングを打たせるなど、ヒヤリとする場面を作られる。その後は落ち着きを取り戻し、押し込む状況を作った。しかし、クロスやセットプレーで前線にボールを放り込むものの、人数を掛けてゴール前を固める松本にはね返され続けた。78分、カウンターからデュークのクロスをウタカが落とし、長沢のシュートがゴールに転がったが、ポストに嫌われ得点ならず。自分たちの持ち味を封じられた清水は今季リーグ戦初黒星。逆に勢いを見せた松本がJ1初勝利を挙げた。( 田中 芳樹 )