■初先発と交代選手が目指すサッカーを体現
今季初先発を飾った高橋峻は試合後、率直に胸の内を語っている。「サポーターが一番この勝利を待っていたと思う」。ここまでリーグ戦の3試合を戦い、勝ち星のなかった神戸はナビスコカップ初戦、ホームで鮮やかに今季初勝利を挙げた。
神戸は山形がしかけるハイプレスに対し、果敢なビルドアップでリズムを作る。その軸を担ったのは、練習試合を含めこの試合が今季初のトップチームでの先発となった田中と、ノエスタ初出場初先発を飾った前田のダブルボランチだ。田中は「1タッチ、2タッチでつなぎ、最後の場面で個人の力を出せばいい」と、ネルシーニョ監督のポジショニング重視のボランチ像を体現。ワンタッチのパスを多用してリズムを作り、森岡を高い位置でプレーさせることに専念した。前田も素早い切り替えでボールを回収し、奪ったボールはシンプルに味方へ渡す。29分にセットプレーの流れから石津が先制点を挙げたのは、チームが作ったリズムの成果だ。
後半は、山形の前線から連動したハイプレスに捕まり、58分に松岡の同点弾を喰らってしまう。だが、この日の神戸は主導権を渡さない。途中出場のマルキーニョスが豪快なドリブル突破で渡邉のゴールを演出し、ペドロ・ジュニオールが奪ったPKを再び渡邉が沈め勝負は決した。
同点弾を喰らうきっかけとなるボールロストをした小川は振り返る。「流れを失いかけたけど、交代出場した選手が取り戻してくれた」。自らのミスを“教訓”と捉えつつ、小川はこの試合にチームの“和”を見いだした。目指したサッカーを表現し続けたチームメートのために、窮地を歓喜に変える選手が神戸のベンチには控えている。(小野 慶太)