同点弾の引き金となるボールロストをした神戸の小川。試合後にこの試合を「教訓」と捉えたが、その言葉を同様に口にした選手がいる。一時は同点となるゴールを決めた山形の松岡だ。58分に決めたゴールは、プロ人生をスタートさせた神戸へのメッセージ性の強い一撃。ただ、松岡は反省する。マルキーニョスに突破を許し、渡邉の決勝弾のきっかけを作った。「僕の責任。この試合を教訓にしなければ」。自らの成長を期して神戸を去った12年から時を経て、松岡が神戸に凱旋した。
ミックスゾーンで田中の取材中、囲み取材の解けた松岡に田中が声を掛けた。「股狙ったの?」。同点弾に対する問いに、「股は狙ってない」と返す松岡。それに「適当(笑)」と付け加えた。嘘か真かに意味はなく、“ノリ”を忘れないのが神戸の常だ。
そこに徳重が姿を現した。「あ、徳重氏にも挨拶しないと」。松岡と徳重は体をさすりあい独特の形で旧交を温める。松岡はあらたまって二人に言った。「ご報告が遅くなり申し訳ありません。去年の12月に二人目(の子供)が生まれました」。徳重の第2子と同級生。ついさっきまでは敵同士。このときは、気の合う友達だ。
かつて愛したスタジアムで挙げた“恩返し弾”を「素直に喜べない」と松岡は言う。山形のJ1昇格に尽力し、山形の“これから”と向き合う。神戸にとっては寂しくもあり、誇らしくもある。(小野慶太)
松岡亮輔(まつおか・りょうすけ)
1984年10月23日生まれ、30歳。173cm/67kg。兵庫県出身。C大阪JY→C大阪Y→阪南大→神戸→磐田を経て、昨季、山形に加入。J1通算110出場4得点、J2通算34試合出場1得点。