東が今季公式戦初得点を挙げた。56分、浮き球をワントラップすると、躊躇なくゴールを狙った。右足の甲に残る感触は悪くなかったという。「リラックスして打てた。打った瞬間に入ると思った」と振り返る会心のゴールは、勝ち点1をもたらす貴重な同点弾となった。
今季の東は、ここまで継続的に高いパフォーマンスを披露している。「たとえ出場時間が1分でも責任を持ってプレーすることに変わりはない」と語る背番号38には、そのワケがある。
転機は昨季半ばの8月。練習中に右太ももの筋挫傷を負い、全治6〜8週間の診断を受けた。それは、プロ入り後初の長期離脱だった。負傷から2カ月後に復帰したが、途中出場を繰り返すばかりで定位置は失ったままだった。
「あんなに(自分を)ふがいないと思ったのは初めて」と言う一方で、「けがはデメリットだらけだけど、唯一のメリットもあった」と述懐する。
復帰後のある日、コーチのブルーノ・コンカに呼び止められた。
「なぜ毎日、全力で取り組まないんだ?」
東には、返す言葉がなかった。「プロの世界は結果がすべて」と決め付け、知らず知らずのうちに日々の練習を疎かにしていた。けがによって定位置を失った男は、ハタと気付き、「当たり前」を取り戻した。その後の小平グランドには、なりふり構わず日々の練習に没頭する東の姿があった。
「今まで数字ばかりを目標にしてきたけど、練習を全力でやらないと何も付いてこない。だから今年は毎日全力で取り組むことを目標にする」
いまの東には活躍できる根拠がある。今季、彼が練習で手を抜いたことは一日もないからだ。(馬場康平)
東慶悟(ひがし・けいご)
1990年7月20日生まれ、24歳。180cm/73kg。福岡県出身。深町SC→若松中→大分U-18→大分→大宮を経て13年にFC東京に加入。12年にはU-23日本代表としてロンドン五輪に出場し、ベスト4進出に貢献。13年には日本代表に初選出された。