水戸、3戦未勝利の危機感がもたらした意識改革による勝利
水戸が苦しみから解放されたのは18分のことであった。CKからの展開、右サイドのパク・カンイルが上げたクロスを三島が胸トラップしてすぐさま右足を振り抜き、ゴールに突き刺した。開幕から288分目にして、はじめて迎えた歓喜のとき。今季初ゴールが決まり勢いに乗った水戸はそのあとも愛媛を攻め立て、再三決定機を作り出していった。そして、32分と54分にCKからゴールを奪い、これまでのうっ憤を晴らすかのような快勝を収めた。
前線から激しくプレスを掛け、愛媛のビルドアップを遮断。高い位置でボールを奪い、素早い展開から前線の三島の強さを生かして愛媛陣内に押し込み、チャンスを作った。「水戸は強かった」と愛媛の木山監督が認めるほど力強さがみなぎっていた。
開幕から3試合無得点で勝利から見放されていた水戸。クラブの歴史上、3試合勝利がない状況は決して珍しくない。しかし、チームはかつてないほどの危機感に包まれていた。「このままではいけない」。そう口にして、意識改革をもたらそうとしたのは馬場と岩尾であった。湘南でJ1昇格を経験した2人。「湘南は勝つための雰囲気(作り)に長けたチームだった。水戸はまだ緩いところがある」と語る馬場の呼びかけにより、敗戦を喫した前節・東京V戦(0●2)の翌日、選手同士でミーティングを開催。ピッチ内だけでなく、ピッチ外の雰囲気も変えていこうと確認し合った。かなり辛辣な意見も出たという。
「変わろう」。その意思を持って挑んだ1週間。変化の兆しが表れた今節の勝利と言えるだろう。ただ、まだ1試合を戦ったに過ぎない。シーズンをとおして、この日のメンタリティーで戦えたとき、開幕3試合の苦しみが無駄ではなかったと言えるだろう。(佐藤 拓也)