ヴァイッド・ハリルホジッチ新監督の初陣となった27日のチュニジア戦(大分)を岡崎慎司(マインツ)と本田圭佑(ミラン)のゴールで2−0と勝利した新生・日本代表。今回のシリーズ最後となる31日のウズベキスタン戦も連勝し、6月の2018年ロシアワールドカップアジア2次予選に向けて、力強い前進を見せた。
新指揮官は「明日のメンバーは1試合目と全く違う。リスクが少しありすぎるかなと思うが、ほとんどの選手を使おうと思う。全ての選手の知識を深めたい」と前日会見で語ったように、今回はスタメンを総入れ替えする意向を示していた。そのうえで、日本がアルベルト・ザッケローニ体制で1度も勝利していないウズベキスタンに勝とうというのだから、ハードルは高い。選手たちはその関門に挑まなければならなかった。
この日のスタメンは、GK川島永嗣(リエージュ)、DF(右から)内田篤人(シャルケ)、昌子源(鹿島)、森重真人(FC東京)、酒井高徳(シュツットガルト)、ボランチ・青山敏弘(広島)、今野泰幸(G大阪)、右FW本田圭佑(ミラン)、左FW乾貴士(フランクフルト)、トップ下・香川真司(ドルトムント)、1トップ・岡崎慎司(マインツ)の4−2−3−1。チュニジア戦から11人全員を入れ替えるとともに、実績面々を揃って起用してきた。内田と今野はケガの影響もあってベンチスタートかと思われたが、ハリルホジッチ監督は思い切って頭から起用してきた。対するウズベキスタンは4−4−2。看板選手のジェパロフ(蔚山)は不在だが、ハイダロフ(アルシャバブ)やナシモフ(パディデー)らはスタメンだ。
「前回、我々はホームで負けている。もう1度挑戦して勝ちたい。まず勝利、そして向上して勝つことを目指したい」と指揮官が強調した通り、前回以上に球際の激しさとタテへの意識を前面に押し出すと見られた日本。その通り、選手たちはキックオフ直後から一目散にゴールへ向かった。開始早々の6分には本田のクロスに抜け出した乾がGKと1対1に。これで得た左CKのこぼれ球から青山が30m弱のミドルシュートを蹴りこみ、彼らは瞬く間に先制点を奪った。このミドル弾も前日練習で取り組んでいたもの。ハリルホジッチ監督のアプローチがいきなり得点となって表れた。
このゴールに気をよくした選手たちは貪欲に追加点を取りに行く。10分には乾、本田が立て続けにミドルを打ちに行き、開始10分間で5、6本のシュートを浴びせる。奪ってからのスピーディーな展開も目立ち、同じメンバーでもアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ監督時代とは試合運びのリズムが全く違った。
それでもウズベキスタンも底力のあるチーム。10〜15分くらいから落ち着きを取り戻し、FWナシモフらがフィジカルの強さを生かしてタメを作って得点を狙ってくる。昌子と森重の両センターバックは彼らの動きに手を焼いたが、チーム全体のサポートの意識の高さから危ない場面をしのぎ続けた。
日本は30分を過ぎると再び勢いを取り戻し、37分には絶好のチャンスを迎える。青山→岡崎とつながり、本田へのスルーパスを狙ったが、DFにクリアされたものの、岡崎はそれをすぐさま拾って前へ展開した。本田は左でフリーになっていた乾にパス。乾に決定機が巡ってきたが、惜しくもDFが阻まれ得点には至らない。それでもこの場面に象徴されるように、一度ミスしても連続して裏を突こうとする高い意識としぶとさがゴールチャンスに直結することを選手たちも再認識したことだろう。
前半は1−0で終了。後半を迎えるに当たり、ハリルホジッチ監督は内田と今野に代えて太田宏介(FC東京)と水本裕貴(広島)を投入する。この交代で酒井高徳が右へ行き、太田は左サイドバックに。水本は本職でないボランチに入った。ウズベキスタンもFWを1枚入れ替え、同点弾を狙いにきた。
ウズベキが攻撃を加速させる中、日本もペースダウンはせず、ゴールへの意欲を持ち続けた。不慣れなボランチに入った水本も乾へのスルーパスを出すなど、まずまずの動きを披露。チームにうまく順応していた。
そんな後半9分、日本は待望の2点目を叩き出す。中盤の青山から香川につながり、香川がドリブルで持ち上がって左の乾へ。乾は得意のドリブルでペナルティエリアに侵入するも手数をかけすぎてシュートを打てず、DFにカットされてしまう。そこに詰めたのが太田。彼の精度の高いクロスをファーサイドで待ち構えていた岡崎がヘッド。2試合連続となる代表通算43点目を叩き出すことに成功した。
こうなるとウズベキもリスクを冒して攻めに出ないわけにもいかない。カシモフ監督は次々と持ち駒を投入してチームにフレッシュさをもたらした。が、日本のペースは落ちない。ハリルホジッチ監督はこのタイミングで乾に代えて宇佐美貴史(G大阪)を投入。前線により一層の活力を与える。その宇佐美が後半18分から登場するや否や、日本は素早いカウンターを見せる。本田からのパスを受けた宇佐美は左サイドを疾走。中央に鋭いボールを送る。ここに岡崎が飛び出すが、残念ながらあと一歩合わない。それでも宇佐美効果が少なからず垣間見えるシーンだった。
その後、指揮官は香川と柴崎岳(鹿島)、さらには本田と大迫勇也(ケルン)を交代。基本布陣は変えず、柴崎をトップ下、大迫を右FWに入れる形にした。キャプテンマークは森重が初めて巻くことになった。宇佐美と柴崎のプラチナ世代競演でよりチーム全体が活性化されると期待が高まったが、香川と本田という攻めの大黒柱が抜けたことで機能性がやや低下。攻めがやや単調になったかと思われた。が、相手の運動量も低下し、全体が間延びし、非常にオープンな展開になる。
そこで日本はゴールを量産する。後半35分の相手FK。そのクリアボールに抜け出した柴崎が、前に出てきたGKの位置を見逃さずに超ロングシュートを放つ。ボールは弧を描いて無人のゴールへ。かつて鹿島の先輩・小笠原満男が2006年2月のフィンランド戦で決めた超ロングシュートを彷彿させる得点で、日本は3点目を奪った。
この直後、相手に1点を返されたが、若い力の躍動はとどまるところを知らなかった。38分には大迫からパスを受けた宇佐美が得意のドリブル突破でゴール前へ突進。豪快に右足を振りぬいて4点目を挙げる。さらに後半残り1分には、岡崎に代わった川又が右CKからの森重の折り返しを頭で合わせて5点目をゲット。とうとう5−1にリードを広げた。
試合はこのままタイムアップの笛。代表定着を狙った青山、柴崎、宇佐美、川又にゴールが生まれたのは大きな収穫だ。守備面も若い昌子が粘りを見せ、ボランチに入った水本も想像以上にいい動きを見せるなど、新戦力が揃って活躍した。これは新生・日本代表にとって非常にポジティブな要素。今後のチームの成長が楽しみになる一戦だった。