今度は、外さないよう強く右足を振り抜いた。
「インサイドキックで転がすことも考えたが、チュニジア戦はそれで外して痛い目にあった。今回はパンチ力。思い切り打った」
大分ではポストに嫌われたシュートを、東京のピッチで見事サイドネットに突き刺してみせた。「同じミスをしないことは選手として大事なこと」。代表初得点に喜ぶ思いを少し胸に隠しながら、宇佐美貴史は涼しい表情でそう語った。
見事だった。ボールを受けてからドリブルに入り、最後に右足を一閃するまでの一連の流れ。眼前のDFを一人はがし、さらに来る敵の間をすり抜けていき、完全に相手を置き去りにした。宇佐美に迷いはなかった。
「最初のコース取りをどうしようかと思ったけど、コースがパッと見えた瞬間にはシュートまで行くイメージが見えた」
マークが最も厳しいバイタルエリアでも突破していく力。あらためてほかの選手にはない、稀有な才能を示した。
競争が激化していく前線。宇佐美が残した印象は、その中でも強く、色濃い。岡崎慎司や本田圭佑、香川真司といった既存の主力勢と組んだ際も、好連係を披露した。ただ、冷静な視点も忘れていない。
「最初先発でプレーしていた選手たちが相手を疲れさせてくれた。自分たちはもう最後のトドメを刺すだけだった。やっぱり先発選手の力があって、僕らの力が出しやすい環境になった」
もちろん目指すは代えの効かない存在になること。チュニジア戦後は「ロボットではない」という独特の表現で自分を語ったが、今回も耳に残る言葉を残した。「自分が先発から出れば、全然違う“景色”が見えると思う。その景色を見るためにも、結果を出せたことは大事」。
その才能はもはや誰もが知っている。あとは、然るべきとき、然るべき舞台で輝き続けることが待たれる。きっとそこに、宇佐美が見ようとする景色も広がっている。(西川 結城)