長く苦しい3月だった。開幕前から戦術を浸透させ、それなりの手ごたえも感じてきたはずが、フタを開けてみるとなぜか機能しなかった。開幕の讃岐戦(0●2)での惨敗を皮切りに、第2節・岡山戦(0●1)では主導権を握りながら得点できずに敗れ、第3節・群馬戦(1△1)はエヴァンドロの一発でどうにかドロー。第4節・磐田戦では見事なカウンターを繰り出したが、追加点を奪えずに1-2で力負けした。J2優勝を目標に掲げたチームが、4節を終えて未勝利で最下位。それでも、積み上げ続けてきたことの片鱗は、これまでの試合でも見て取れた。
表面上は一戦ごとに異なるように感じられるかもしれないが、土台は一枚岩だ。ボールを奪ったら効率的にゴールへと迫る。この「効率」を高める手段を、相手の特長によって使い分けるということだ。田坂監督はそれを「コンセプトは同じだが、ニュアンスが変わってくる」と表現した。
勝つためのどん欲さを極めるならば、相手の長所をつぶさない手はない。「自分たちのスタイルを貫く」と優等生然としていては、乱世のJ2は勝ち上がれない。それを見越して、指揮官は早い段階で多くのオプションを準備した。昨季から戦力の約半数が入れ替わった新チームにそれを植え付けるのは容易ではない。複数の選択肢の中で、まだ「らしさ」を輝かせていない戦力もいる。しかし、それはシーズンを戦いながら、徐々に育っていくはずだ。
今季初勝利は大量得点という形で生まれた。ただ後半は大量リードに集中を欠く場面も散見された。優勝を目指すチームはもっと容赦なく戦えなくてはならない。「大勝にも一喜一憂せず1試合1試合を大切に勝ちに行く」。試合後、兵働は気を引き締めた。(ひぐらし ひなつ)