■ミシャ采配ズバリ。ドリブラー起用でチャンス量産
立ち上がりから試合終了のホイッスルまで、ほとんどの時間帯で試合を優位に進めていたのは浦和だった。ボールを回すだけで“一見優位に進めているように見える”良くないときの形ではなく、ボールを支配しながらリズム良くパスを回す。前節の広島戦後に後方からの縦パスの少なさを課題に挙げていた柏木を中心に縦パスを入れながら、チーム全体として長短、中央とサイドを使い分けることができていた。同時にキーポイントに上げ、練習でも時間を掛けてポジショニングや動きを確認していたセカンドボールの対応でも、それを持ち味とする松本を凌駕した。
そして関根、梅崎、高木と右サイドとシャドーで縦と横に並んだドリブラーがそれぞれ積極的にしかけて松本の守備をはがしていく。興梠が再離脱する前はシャドーに興梠、左サイドに高木という形をトレーニングからテストしていたペトロヴィッチ監督は、ロッベン、リベリという世界有数のドリブラーを擁するバイエルンを例に挙げながら、「自陣に引いてブロックを作る相手の守備をワンタッチのパスだけで崩すのは非常に難しい。ドリブルでいかに相手を崩していくかが、相手が人数を掛けてスペースを消してきたときにおいては必要な要素だ」とドリブラーを多く起用した理由を明かした。そして実際にそれが守備を固める相手を圧倒し、数多くのチャンスを作る大きな要因となっていた。結果として得点が生まれたのは終盤の85分だったが、今季で最も得点の匂いがし続けた試合だった。
もちろん、多くの選手が話したように、前半から数多くあったチャンスを決めていれば、もっとラクな試合展開にできたはず。決勝ゴールを挙げた森脇が「今日は二面性が出た」と話したように、勝利したのは自らの力であると同時に、「試合を難しくしてしまったのも自分たち」(森脇)だ。その点で課題は残るが、自陣でブロックを作ってスペースを消してくる相手との戦い方の一つの指針となる試合になったと言えるだろう。(菊地 正典)