とてもサッカーの質を問えない一戦だった。試合前の豪雨によってこの日のピッチは水浸し。ボールをつなぐという概念を捨て、リスクを減らすことで相手のミスを誘う。そんな割り切りの下、これを“恵みの雨”に変えたのは岐阜だった。出足の速さ、球際への寄せ、縦への意識。やることがハッキリしたチームはここ数試合で薄れていた戦う姿勢を一丸となって表現し、前へ前へと、勇敢に出ていく。
しかし、C大阪はしたたかだった。山下を中心とした守備陣が、岐阜の攻勢を力強くはね返し続け、チャンスを待った。66分、ロングボールに飛び出した岐阜のGK太田岳が味方と交錯。こぼれたボールをフォルランが無人のゴールに蹴り込むと、82分にも相手のクリアミスを拾ったカカウが華麗なループシュート。ミスをしない、ミスを逃さない“桜のクオリティー”が歓喜を呼び込んだ。
4連敗となった岐阜の選手たちには「あの失点だけ」と悔しさが滲んだが、そんな「見事だった」(パウロ・アウトゥオリ監督)勇敢な相手をはね除けての勝ち点3だからこそ、C大阪もまた一つ階段を上った。「彼らに勝利を収めたことが、われわれの勝利の価値をより高めてくれた」と桜の指揮官も満足げだった。(村本 裕太)