スタジアムの空気を一変させた無回転FK
度肝を抜くFKが、スタジアムの空気を一変させた。
磐田の2点ビハインドで迎えた前半ロスタイム。センターサークル付近でFKを得ると、小林が左足を思い切り振り抜いた。「あの距離は(東京Vユース時代に)クラブユース選手権で決めたことがある。自信を持って蹴るだけだった」(小林)。無回転気味の強烈な一撃。ボールは微妙に変化しながら横浜FCのGK南の手をすり抜け、サイドネットに突き刺さった。名波監督は「“死に体”だったチームが生き返るきっかけになったのが、あのFKだった」とこの場面を振り返る。
逆に言えば、このスーパーゴールがなければ、勝利は難しかったかもしれない。それほどまでに、流れは良くなかった。14分にクロスから失点。ゴール前の枚数は足りていた中でカズに先制ゴールを許した。38分にはGKカミンスキーのキックミスが失点に直結。自陣左サイドで小池にボールを奪われ、ドリブル突破から左足で決められた。攻撃面でも横浜FCの守備に苦戦。ゲームキャプテンの駒野は「相手のプレッシャーを受け、後ろにボールを下げてしまうことが多くなってしまった」と語る。
後半開始から攻撃的なボランチ・川辺を投入し、攻勢を強めたが、最後のところで相手守備網に引っかかった。この流れを断ち切ったのは、再び小林だった。77分、「モリシくん(森島)の頭を狙った」という右サイドからのライナー性のクロスが、そのままゴールに吸い込まれた。こうなると完全に磐田ペース。85分、途中出場の松浦が川辺とのパス交換でエリア内へ侵入し、右足で決勝ゴールを叩き込んだ。
磐田の逆転勝利は今季2度目。名波監督は「0-2で下を向いた時間が多少あったかもしれないが、切り替えが速かった。選手たちを褒めたい」と語る。劇的な形で勝利した磐田が、首位をキープした。(南間 健治)