
ラストプレーで高崎のヘディングが決まり、鹿島が劇的な勝利をもぎ取った
高崎が気持ちで勝ち越しヘッドをねじ込む
掲示されたロスタイム3分が過ぎようとしていた。ゴールまではまだ距離がある位置からのFK。柴崎が強く蹴ったボールは鋭く曲がり、それまですべてをはじき返してきた広州恒大の巨塔の間へ滑り込む。合わせたのは高崎。「気持ちで押し込んだ」というヘディングシュートが左のサイドネットを揺らし、右コーナーに走った高崎に多くの選手が重なり合う。そして、吹き鳴らされた試合終了のホイッスル。決勝トーナメントに進出するためには勝つしかなかった鹿島が、ラストプレーで劇的な勝利を手にした。
苦しい試合だった。PKを獲得し、誕生日だった遠藤が19分にこれを決めて先制点を奪ったところまでは理想的だった。しかし、前回はやすやすと攻め込めた右サイドからの攻撃が機能しない。相手の中盤が激しくサイドまで寄せてくる。ボールを下げてサイドチェンジを狙おうとしても「下げさせたところでサイドを変えさせないようにプレッシャーがガッと速かった」(梅鉢)ため、効果的にパスがつながらない。後半、相手が同点ゴールを狙い、前に圧力を掛けてきたため、速攻が効果を発揮する条件はそろった。だが、パスが思うようにつながらない。追加点を奪えないままジリジリとした時間が過ぎると、再びゲームが動く。75分、広州の素早いリスタートからFWガオ・リンが左サイド深くに侵入し、最後は昌子の背後を取ったFWエウケソンにゴールを奪われてしまった。
しかし、最後の最後に待っていた歓喜。真冬を思わせる冷たい風雨が吹き付ける中、最後まで戦う意思を示し続けた選手やサポーターなど多くの人の気持ちを乗せて、高崎のヘッドがゴールに決まった。
試合後も興奮冷めやらぬトニーニョ・セレーゾ監督は「最後まであきらめずに戦うのがこのクラブの伝統」と胸を張る。才能のある若いチームに唯一足りなかったのは勝つ術や勝者のメンタリティー。会心の勝利によって中国の巨人を倒した若鹿たちは、計り知れない経験と自信を得た。