大宮を相手にフクアリのプリンスが輝きを放った。77分、千葉の左サイドから攻撃が始まる。佐藤勇の縦パスを森本がキープし、田中へ。その間、井出は右サイドを全力で駆け上がり、ゴール前へ。「(田中)佑昌さんが持ち直した瞬間、良いタイミングで入っていけた」(井出)。田中のクロスにニアへ飛び込み、GK加藤の鼻先で柔らかくボールの軌道を変える技ありの先制弾。
「左サイドの作りに右サイドから中に飛び込んで合わせる」得意のプレーだった。その3分後には完璧なゴラッソ。左サイドでボールをカットしたパウリーニョがサイドチェンジ。右での作りに参加した井出は、いったん中央のパウリーニョに戻すが、振られた大宮の中央が薄くなっているのを見逃さなかった。中村の縦パスがネイツ・ペチュニクに渡ると同時にスピードアップし、その落としを受けると、上体でフェイントを入れながら細かいドリブル。「ドリブルの仕掛け(からのシュート)は特長」の言葉どおり、6タッチ目でゴール右スミに巻いて突き刺した。ひざ下の振りの速さ。鋭いインパクト。相対した河本は足を出すことができなかった。
開幕の長崎戦(1◯0)で決勝点を挙げたが、ここまで先発起用の期待に応えてきたとは言い難い。守備の強固な栃木戦(1△1)や岡山戦(1◯0)、雨の劣悪なピッチで戦った京都戦(2◯0)では持ち味を発揮できず、早い時間の交代も珍しくなかった。本来、「間にポジションを取ってボールにたくさん触ってリズムを作る」タイプ。今季の縦に速いサッカーにどうフィットするのか模索が続いている。指揮官が「攻守にわたって力強さはまだまだ」と厳しい評価を崩さなかったように、この日の2得点は大宮のプレスの緩さが最大の要因。ただ2点目の流れは、「(中村)太亮くんと目が合ったし、ネイツ(ペチュニク)も前に入ってくれていた。完全に自分のタイミングとチームの関係ができていた」と手ごたえを感じている。「縦に速い攻撃にアクセントを加える存在になりたい」。プリンスの挑戦は続く。 ( 芥川 和久)
井出 遥也(いで・はるや)
1994年3月25日生まれ、21歳。171cm/63kg。千葉県出身。クリアージュFC→千葉U-15習志野→千葉U-18を経て、12年にトップチームに昇格。15年にはU-22日本代表に選ばれる。これまでにJ2通算40試合に出場し7得点を挙げている。