12分間に4得点̶̶。劇的、いや奇跡的な形で東京Vは逆転勝利を収めた。
だが、奇跡を起こさなければ勝てない状況を作り出したのもまた自分たちだった。不必要なファウル、軽率なパスミス、ルーズなマーク。12分間で4点を取る前に、13分間で難波にハットトリックを許しているのだ。「自分たちはこういうゲームをやりたかったわけではない」(冨樫監督)。攻撃陣も、ボールは保持しても決定機は作り出せておらず、84分の平本の1点目も残り時間を考えれば焼け石に水だと思えた。しかし、安在の思いは違った。
「昨季は自分たちが岐阜みたいに勝てていない状況でサッカーをしていた。そういうときは、1点を取っても2点を取っても、気持ち的にどこかでまたやられるんじゃないかという残像が残る。だから1点返せば勢いは絶対に出ると思った」
その思惑どおり岐阜の守備陣は1失点すると次々とゴールを割られた。わずかな時間の中で、両者の立場は大きく入れ替わった。五輪予選に参加していたため、今季チームの初勝利を経験していなかった上、PKを献上してしまった安在は試合後にこう言った。「おもしろいですね、サッカーって」。(石原 遼一)