個の力で試合を動かした金沢。C大阪の拙攻を尻目に快心の勝利を得る
77分に清原がボールをセットすると、C大阪のゴール裏は大旗を揺らし大ブーイング。金沢の頼れる主将は、この状況を楽しんだ。「ブーイングされるくらいツエーゲンが認められた」(清原)。丸橋との1対1で積極的にしかけ、ブチ抜いて得たPKを自ら決めた。
試合前半からC大阪が押し込んだ。ピッチの幅をワイドに使い、金沢のブロックに大きく揺さぶりをかけた。狙いはハマり、オーバーラップした右SBの椋原がフリーでボールを受け、個々の選手が技術の高さを披露した。金沢は陣形が左右に大きく振られ、中盤から飛び出してくる選手の対応にも後手に回った。しかし、意外にも“個の力”で試合を動かしたのは金沢の10番だった。38分、「振り抜いた」と佐藤が語ったシュートの弾道には、韓国代表GKキム・ジンヒョンも成す術なし。
金沢はこの試合で17本ものシュートを浴びせられたものの、脅威となったのは71分の玉田のヘディングシュートくらいだった。後半のC大阪は金沢のブロックの外から闇雲にクロスを入れるか、ミドルシュートを放つのみ。特にフォルランがエリア内へ入れてくるクロスは金沢守備陣の想定内で、太田も「シンプルに上げてきてくれたときは対応しやすかった」と振り返った。玉田の投入時間がもう少し早ければ流れは変わったのかもしれない。幸運なことに消耗した時間帯に、楠神や関口にしかけられることもなかった。とはいえ内容を吟味すれば両チームのサポーターとも、この結果には納得しただろう。
相手を乱したい金沢にとっては清原がコイントスでエンドを変えたとき、まさに“劇場”の幕は上がっていたのだ。金沢が負けたと言えるモノは取材に訪れたメディアの人数くらいだった。(野中 拓也)