■柏レイソル
松本戦の手ごたえ。撃ち合いを避けて攻守を整える
急ぐべきところで急ぎ、落とすべきところは落とす。広げるべきところで広げ、縮めるべきところは縮める。柏がやろうとしているのは、そんな融通無碍なサッカーだ。前節・松本戦(3○1)は、無理にテンポを上げず、頻繁にサイドを変えて“広げる”ことで試合の流れをつかんだ。
一度テンポを上げたら、選手はそのままゴールに直行したくなる。しかし悪い奪われ方をすれば、カウンターを受けかねない。またピッチの広さを生かし、一見もどかしいような遠回りをすることが、相手の足を動かせる“ジャブ”にもなる。そういうねちっこいポゼッションが、松本戦では3ゴールの遠因となった。“相手が速攻を返す機会”を奪ったことで、守備も安定した。
若く動きのいい選手を前線に並べる鹿島について、大谷は「運動量が多く、速いペースで試合を進めている」と述べる。柏は相手のペースに巻き込まれず、行ったり来たりの“撃ち合い”を避け、松本戦のように自分たちがボールを保持する中で攻守を整えることが鹿島戦の好ましい展開だ。
大谷は「いい攻撃ができているときこそ、いい守備になっている」と攻守一体の構造を口にする。そして「高い位置でどれだけ奪い返せているかは、自分たちがどうゲームを進めているかを見る、分かりやすいバロメーター」とチームの“チェックポイント”を明かす。バランスのいい陣形で、落ち着いてボールを動かせていれば、守備も簡単に崩れない。相手をジリジリと敵陣に押し込み、奪われても高い位置からプレスに行ける状態になっていれば、その試合はきっと柏ペースだ。
■鹿島アントラーズ
カイオが復帰。鹿島は再び勢いを付けられるか
公式戦2連勝と波に乗ったように思えた鹿島だったが、前節・新潟戦(1△1)では良いところを出せずに終わってしまった。相手の堅い守備の前にパスをつなぐスタイルを貫けず苦戦。中3日で迎える柏戦までに修正する時間は短く、出てきた課題をトレーニングで克服することは難しいだろう。さらに言えば、この連戦はゴールデンウィークが終わるまで続いていく。試合をやりながら課題と向き合い、だましだましでも結果を出していくしかない。
その意味では、次の相手が敵の長所を消しに来るネルシーニョ監督がチームを去った柏であることは、鹿島にとってプラス材料と考えることもできるだろう。吉田新監督は自分たちのスタイルを打ち出してくる。マンツーマン気味の守備で鹿島の長所を消される心配はそこまで高くないはずだ。新潟戦とは違った意味で火花を散らすことになるだろう。
先発は少し変更がありそうだ。新潟戦では足に違和感を覚えたファン・ソッコが前半だけでピッチを退いた。大事に至るようなけがではないようだが、週明けにはACLのアウェイゲーム(ウェスタン・シドニー戦)が控えている。そのことを考慮すると、この試合で植田に先発を経験させておいたほうが良さそうだ。プラス材料は、出場停止明けのカイオが戻ってくることだろう。それに伴い、前線の組み合わせが変わることも十分にありそうだ。
連戦続きでトレーニングを積むこともできず、頻繁にメンバーが入れ替わることから連係を深めることも難しい。再び勢いを付ける必要がある中、それを見せるのは個の突破力か組織力か。連戦の今後を占う重要な一戦である。