森保体制4年目で初めて3試合連続無得点という状況に陥った。しかし、指揮官から焦燥感はにじんでいない。シュートがポストに阻まれ、GKの好セーブにあった場面もあった。ノーチャンスという壊滅的な状況ではないこともあるが、最初から我慢が必要なことは分かっていたからだ。「攻撃に手詰まり感もある。このまま続けていくのか?」。前節の名古屋戦後に飛んだ記者陣の問い掛けに森保監督は冷静に応じた。
「やり続けるだけだと思う。これまで築いてきた攻撃の形や阿吽の呼吸という部分は、高萩(ウェスタン・シドニー)や石原(浦和)が移籍して今年また作り直さないといけないと思っているし、いまも思っている」。
ペトロヴィッチ前監督が06年に就任してから今季で10年が経つ。前監督の下で築いてきたサッカーを森保監督が引き継ぎ、広島は選手が入れ替わっても一貫して同じサッカーを続けてきた。今季は昨季の主力の二人が抜けたことで急激に攻撃の再構築を迫られ、そのサッカーは大きな困難に直面しているが、いつしかこの問題にぶち当たることは避けられなかっただろう。選手は必ず入れ替わっていく。培ってきたベースと在籍している選手の特徴を掛け合わせて作り直していく作業は、広島が向き合わなければいけない課題なのだ。
このサッカーを始めたときも順風満帆ではなかった。いまは対戦相手に広島の攻撃手法が知れわたっているため、ただ作り直すだけでなく変化も加えていかなければいけない。多少の困難をくぐり抜けなければならないのは当たり前だ。もしこの壁を乗り越えられないのならば、これまで築いてきたサッカーと別れを告げる必要も出てくる。現在は“広島のサッカー”の存続を懸けた正念場のときである。(寺田 弘幸)