本人も周囲も待ち望んだゴールだった。柴崎が「多少高めのボールだった」と振り返る速い弾道のFKをまったく問題とせず、むしろ、その高さと速さに合わせられるのは一人のみ。プロ初得点となるヘディングシュートは、身体能力の高さを遺憾なく発揮した植田らしい得点だった。
プロ3年目での初得点に「自分自身でも遅いな(と思う)」と殊勝に語る植田。しかし、その意味するところは、どう喜べばいいのか戸惑う本人とは対照的なチームメートたちの姿が物語る。特に、柴崎の喜びようは新たなホットライン完成を感じさせた。また、クラブも植田の目に付く場所で過去の映像を流すなど奮起を促していた。「過去のCB、(岩政)大樹さんや秋田(豊)さん、(大岩)剛さん、(中田)浩二さんがたくさん出てきて、自分も今日は取ってやろうという気持ちでいた」(植田)。蹴り方をつかんだキッカーは飛躍的に精度を上げ、跳び方を覚えたターゲットマンが高々と舞い上がる。鹿島伝統のセットプレーの強さが復活した。
決勝点はカイオだった。昨季のベストヤングプレーヤーは、チームが始動してすぐに左足の付け根を痛めて出遅れた。宮崎でのキャンプ中はずっと別メニューだった。試合に復帰しても動きが重い。昨季の輝きは失われていた。しかし、柏戦では久しぶりに躍動感を感じさせるプレーを見せる。
「何試合目? 6!? 早く決めないと、と思っていた。メッチャ気持ち良かった。これからもっともっと決めたい」と白い歯をのぞかせた。
植田、カイオともに94年生まれの20歳。新世代の二人はフィジカルを鍛え上げて今季に臨んでいたが、先に結果を残したのは二人のポジションに加入したファン・ソッコと金崎だった。しかし、新戦力に支えられた序盤戦はもう終わる。ダメ押しとなる得点を決めた中村を含め、三者三様の“初得点”が、春を感じさせた。(田中 滋)