今季の磐田の根幹は、規律ある守備にある。昨季はJ2で15位タイの55失点。これを改善すべく名波監督は、1月下旬の始動より、昨季徹底し切れなかった部分をあらためて選手たちに意識付けた。守備時のチームとしての“立ち位置”を整理し、いつ・どこで・誰が相手のボールへ寄せるかをよりクリアにした。これは、開幕後も必要に応じて“復習”。前節・東京V戦(2○0)の前には、先発を入れ替えることもあり「フリーズゲーム」(同監督)と呼ぶ“コマ送り”の紅白戦を実施した。攻撃側がパスを1本出すたびに、プレーを止め、守備側のスライドなどを確認。指揮官は「良いスターティングポジションを取ることで良い守備、良い攻撃も生まれる」と語る。そして、“セット”できた際には、勢い良くボールを奪いに行く――。
開幕前の取材で、名波監督がブンデスリーガのワンシーンを挙げたことがあった。2月下旬に行われた第23節のルール・ダービー。ドルトムントがホームでシャルケを3-0で下した一戦である。注目したのは3点目。自陣のゴール前でバックパスを受けたシャルケGKベレンロイターに、ドルトムントのMFロイスが猛然とプレス。不用意に切り返そうとした相手GKにタックルし、そのままゴールにつなげた。
「100回、150回やってどうかというゴールだと思うけど、(プレスに)行くときは『行き切れ』ということ」(名波監督)。
「良い攻撃の起点は守備」(駒野)。まずは“帰るべき場所”へ――。タイトなプレッシャーでボールを奪い切り、攻撃へつなげる。このサイクルがいまの磐田の生命線だ。(南間 健治)