中村の3アシストでホーム通算100勝目を飾る
ボールを主体的に保持して攻撃的なサッカーを見せる川崎Fとて、この日ほどボールを握ることができた試合は、そうないのでは。そう思うほど、常に川崎Fがボールを持ち続けた90分間だった。
川崎Fと対戦する際、矛に矛をぶつけるように攻撃的な真っ向勝負を挑むクラブはほとんどない。引いてブロックを作るか、前から奪ってカウンターを狙うか。今節の甲府も例外なく、前者を選択。松本と阿部翔が最終ラインに吸収され、5枚で引いてペナルティーエリア内に厚みを持たせるという形で臨んだ。だが、「もう少しプレッシャーに来るかと予想していたが思ったほど来なかった」と大島が振り返るように、甲府はブロックを作るものの奪いどころを定められない。一方、川崎Fは焦れずにゴール前に入り込める瞬間を伺いながらボールを回す。そして38分、ペナルティーエリア内で小林が倒された瞬間に動きが止まった甲府DFのスキを逃さず、中村がゴール前に鋭いパスを送ると、足元でボールを収めた大久保が冷静に流し込んで川崎Fが先制した。
「スルーパスを通されたのは本当にあの1回だけだった」と樋口監督は悔やんだが、前述したとおり、チームでボールの狙いどころが定まらず、そもそもボールを持てない甲府にとってこの“1回”は大き過ぎた。後半はリスクを負って前から行くのか、ビハインドだがもう一度耐えてカウンターを狙うのか。そういう部分の意思統一もできず、守備網がチグハグになった。そうなれば川崎Fの独壇場。59分と終了間際に、ともに中村のパスからレナトがゴールを奪い、3-0で快勝。圧倒的な力の差を見せた川崎Fがホーム通算100勝目を挙げ、3位に浮上した。(竹中 玲央奈)