寡黙で独特なオーラを放つ点取り屋が、徐々に川崎Fにとって“計算できる”戦力になりつつある。55分、森谷に代わりピッチに入ると、DFとの駆け引きや労を惜しまぬプレスバックですぐさま存在感を発揮。59分にレナトが記録した2点目は大島、大久保、中村らのパスワークから生まれたモノで、そこに目がいくかもしれないが、そもそも彼のプレスバックが阿部翔のミスを誘ったことに端を発する。「途中交代からバンバン(やらないと)。ほかの人のぶんまで頑張らないといけない」。彼の守備への強い意識が得点を呼び込んだことは間違いない。ただ単に走る距離や回数が選手、チームの評価や結果に直結するわけではないが、それでも彼の“走る姿勢”は効果的であり、実際に得点へつながった。
「(松本)山雅に比べればキツくない」と、笑いながら話したが、松本時代に養われた走力が川崎Fで、十二分に生かされている。そして特筆すべきはFW陣の中でも群を抜いて強い“裏への意識”。この日も常にDFとの駆け引きの中で背後を狙い、甲府の守備陣が前にチャレンジできない状況を創出。中盤の選手が間で受ける機会を陰で“アシスト”していた。目立たないがチームに与える影響は計り知れず、あとは得点のみ。「あとは結果かなと思います」(船山)。爆発までの一歩を、一刻も早く踏み出したいところだ。(竹中 玲央奈)
船山 貴之(ふなやま・たかゆき)
1987年5月6日生まれ、27歳。170cm/69kg。千葉県出身。柏J→柏JY→柏Y→流通経済大→栃木→松本→栃木→松本を経て15年に川崎Fに加入。これまでにJ2通算138試合出場42得点、J1通算2試合出場0得点。