開幕からキャプテンマークを巻いて試合に臨んでいる中澤は、こんな言葉で湘南戦を総括した。
「決めるべき人が決めた。それに尽きる」
アデミウソンと齋藤に待望の今季初ゴールが生まれた。前者は開幕直後に加わった期待の新助っ人で、後者は攻撃をけん引する伸び盛りのアタッカーだ。チームが波に乗り切れない一因として、彼らの沈黙が少なからず影響していた。これまでの試合で決定機はたくさんあったが、両選手ともに決め切れなかった。
対して、この日生まれたゴールは難度の高いモノだった。特にアデミウソンのゴールは、シュートが決まらなければ決定機にカウントされない類だ。齋藤のドリブル突破と兵藤のランニング&ヒールパス、そしてフィニッシュという一連の流れはとても美しかったが、ゴール前での位置関係と湘南守備陣のプレッシャーは決して簡単ではなかった。「初ゴールまで時間がかかった」と安堵の表情を浮かべたブラジル人ストライカーは、決定機ではない場面をゴールへと変えた。
開幕戦でビューティフルゴールを決めた右SB小林は「オレの何年に一度かのゴールよりも、彼らが決めることがチームに良い影響をもたらす」と喜んだ。フィニッシャーとしての資質だけを考えると、アデミウソンと齋藤はリーグの得点王を争うような存在ではないかもしれない。しかし、トリコロールの攻撃を引っ張るのは間違いなく彼らで、その出来がチームの浮沈を決める。コンスタントにゴールを決められれば、守備力に定評のあるチームの順位はおのずと上がっていく。
第7節での初ゴールは少し遅かった。とはいえ遅きに失したというわけではない。齋藤はゴールを決めた直後、苦笑いしながらゴール裏のサポーターに向けて手を合わせて謝った。「やっと決められたよ」(齋藤)。喉から手が出るほどほしかった今季第1号が生まれ、精神的に余裕が出ることでポジティブに作用していくはず。二人の本領発揮はこれから始まる。(藤井 雅彦)